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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「捨てがたき人々」

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「捨てがたき人々」2012年 監督:榊英雄

金も仕事もなく、絶望と鬱屈を抱え、風に吹かれるゴミクズのように日々をやりすごす男・狸穴勇介。人生最後の場所とばかり故郷へふらりと戻った彼は、顔に痣のある女・岡辺京子と出会う。衝動にまかせたセックスから始まる、どうしようもない二人の縁と絆。それでも勇介の生活にはやがて変化が訪れるのだが・・・。

原作はまったく知らないけれどジョージ秋山のマンガ。そしてエロが一杯という事で興味を持っていたんだけど見逃してしまっていた奴。東京再上映、ありがたや。

自分が生きている意味を見いだせないクズであるという思いに支配された男とその周辺の性欲と業にまみれた人々の約10年強の物語。
生きてる意味のないクズという劣等感に苛まれる事ってのは、思春期に身に憶えのある人は少なくないでしょう。やがてそういう思いはいろんな形で浄化されていく。逃避や代償という術を覚えていくからね。少なくとも自身の場合はそうです。その思いが無くなったわけではなく、自ら封印してるんですね。そうしておかなけりゃ生きていくのは辛いですから・・・
大森南朋演じる勇介のクズである自覚ってけっこう根の真面目さがあるんじゃないの、この最低男。

というわけで、新興宗教まで持ち出したりして、けっこう内容的には重かったりする。ジョージ秋山だし。

ただ、最初のうちはダメ男・狸穴勇介の女子に対する不躾な視線に大いに共感を覚え期待したんだけれど、何か物足りなさを感じてしまったかな。
女優陣は素材も良いし、頑張っているんだけれど、何か充足されない気持ち・・・
この手のテーマはどこまでもエグく、そして女優陣をエロく撮れる園子温やラース・フォン・トリアーみたいにガンガン振り切った方がよさそう。

クズの子を身籠ってしまい、それを伝えると烈火のごとく「おろせ!」と言われてしまう岡辺京子(三輪ひとみ)が事故死した母の遺品整理で母子手帳を見つけ、そこに印刷されている児童憲章を読み上げていくシーン。
ここだけはちょっとやられそうになりました。涙腺やばそう、と思った瞬間、大森南朋の勇介が豪雨の中、号泣してるんで、なんとか食い留まった。



ジョージ秋山作品なので美保純をキャスティングしているのが嬉しい。ピンクのカーテン抜擢は多分にジョージ秋山の描く女子の丸みのイメージに美保純がドンピシャだったからでしょ、きっと。
流石に、本作ではクソババァ呼ばわりされる京子の叔母役。(実年齢を中心に置いたとすると48歳〜60歳の熟女役。実年齢を頂点にしても42歳から54歳。)ばっちりエロシーンも頑張ってます。熟年の性をリアル感持って好演です。



寺島進、荒戸源次郎、佐藤蛾次郎といった豪華キャストを勿体ないくらいのチョイ役で使ってたなぁ。

仏教の話なんかもちょっと出たりするから、結局10歳の息子にまで及ぶ因果、因縁。あるいは京子の女の性(さが)の部分の因果といのも興味深く描かれている。でもこの辺はきっと原作マンガの方が長編なので良く出来ていそうな気がする。
劇場では幻冬社の原作マンガも売っていて、今回は購入しなかったが一度読んでおきたい。



下高井戸シネマ

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