「ストックホルムでワルツを」2013年 典 監督:ペール・フリー
MONICA Z
スウェーデンの片田舎で、両親と5歳の娘と生活しているモニカ・ゼタールンド。シングルマザーとして育児や家事に励み、電話交換の仕事をこなしながらも、歌手としての成功を夢見てジャズクラブのステージに立っていた。そんな中、彼女の歌を耳にした評論家を通じて、ジャズの聖地ニューヨークで歌を披露するチャンスを得る。だがステージで結果を残すことができず、失意のまま帰国する。それでも夢を諦められないモニカは、英語ではなくスウェーデン語でジャズを歌おうと考え……。
Monica Z (2013) Monica Zetterlund ”WALTZ FOR DEBBY"
スウェーデンでは知らぬ人は居ないという超有名歌手。日本で言えば美空ひばりみたいなもんだそうです。
ビル・エバンス・トリオを伴奏にしたアルバム「WALTZ FOR DEBBY」は私も持っているけれど、そのライナーノーツに書かれている事だけが彼女の情報。
この映画を知った時、モニカ役のエッダ・マグナソンはとても綺麗なブロンド美人で、雰囲気もモニカ・ゼタールンドに似てる(実際のモニカはビル・エバンスのアルバム・ジャケットくらいしか知らないんだけど)ものの本物よりもちょっとキツそうで冷たそうな印象が気になった。
ところが映画を見てみるとキツくて冷たい雰囲気はモニカそのものだったんですね。
性格的に決して好感を持てるようなタイプでは無いんですね。これってモニカ・ゼタールンドのイメージ落ちるんじゃないかって心配になるほどのわがまま女ぶり。男のあしらいも褒められたもんじゃありません。
ビル・エバンスが姪っ子に捧げたワルツを「モニカのワルツ」なんて横取りしちゃうんだから本人にも強かな面は確かにあるのかもしれませんね。
しかし、jazz、音楽映画の側面として満足の行く物。エッダ・マグナソンの歌の水準がかなり高い。本物をも凌駕するんじゃないかって。
帰ってモニカ・ゼタールンドのアルバムを聴き直したけれど。映像が加わるプラス要素があるにしても、エッダ・マグナソンの方が上なんじゃないか、って・・・
どうにもスウェーデンの歌姫様には不利な要素ばかりですが・・・
特にクライマックスに持ってくる母国語で歌うビル・エバンスの名曲「ワルツ・フォー・デビー」は圧巻です。
元々この曲は美しいメロディが印象的なんですけれど、いや、これにはまいりました。
そのステージの後にかかってくる電話なんかで一応の見せ場も作られ・・・、それまで、少し凡庸な音楽映画程度の印象が1曲で覆されちゃう。
父親との関係がね・・・
あ、そうそう、モニカ・ゼタールンドの父はサックス奏者。母はベース奏者だったんです(ライナーノーツよりの知識)
父親(シェル・ベリィクヴィスト=好演)がミュージシャンであった事を感じさせるワン・シーンはあったけれど、あまり説明的では無い。物語上かなり重要な要素だけどね。
母親に至ってはミュージシャンだったとはとても思えない。
トミー・フラナガン、ダグ・ワトキンス、エラ・フィッツジェラルド、ビル・エバンスなどが登場しますが、モニカ以外はあまり似せようという意識は無い。まぁ、そっくりさん映画を作るわけじゃないから、これは問題なしです。
この映画は、色彩の使い方がとっても好ましいんです。
レトロ・スウェーデンといった風。
チラシでも大胆に使われている、ちょっとくすんだブルー。
映画が始まった当初にモニカがストックホルムへの行き帰り使うバスの色、バスから降り立つモニカのマフラーが同じブルーで洒落てるなぁと思ったら、次から次へとこのブルーの衣装が出てくる。ブロンドに良く似合うんですよ。
なんとも好きな色ですね。ブルー・グレイというか、ビアンキのチェレステともちょっと違う。
そして最後にもう一点。
モニカの娘を演じる子役が健気でとってもカワユイのです。
ナディア・クリステアンソンという女の子です。
歌とナディアだけでも観る価値ありでした。
新宿武蔵野館
MONICA Z
スウェーデンの片田舎で、両親と5歳の娘と生活しているモニカ・ゼタールンド。シングルマザーとして育児や家事に励み、電話交換の仕事をこなしながらも、歌手としての成功を夢見てジャズクラブのステージに立っていた。そんな中、彼女の歌を耳にした評論家を通じて、ジャズの聖地ニューヨークで歌を披露するチャンスを得る。だがステージで結果を残すことができず、失意のまま帰国する。それでも夢を諦められないモニカは、英語ではなくスウェーデン語でジャズを歌おうと考え……。
Monica Z (2013) Monica Zetterlund ”WALTZ FOR DEBBY"
スウェーデンでは知らぬ人は居ないという超有名歌手。日本で言えば美空ひばりみたいなもんだそうです。
ビル・エバンス・トリオを伴奏にしたアルバム「WALTZ FOR DEBBY」は私も持っているけれど、そのライナーノーツに書かれている事だけが彼女の情報。
この映画を知った時、モニカ役のエッダ・マグナソンはとても綺麗なブロンド美人で、雰囲気もモニカ・ゼタールンドに似てる(実際のモニカはビル・エバンスのアルバム・ジャケットくらいしか知らないんだけど)ものの本物よりもちょっとキツそうで冷たそうな印象が気になった。
ところが映画を見てみるとキツくて冷たい雰囲気はモニカそのものだったんですね。
性格的に決して好感を持てるようなタイプでは無いんですね。これってモニカ・ゼタールンドのイメージ落ちるんじゃないかって心配になるほどのわがまま女ぶり。男のあしらいも褒められたもんじゃありません。
ビル・エバンスが姪っ子に捧げたワルツを「モニカのワルツ」なんて横取りしちゃうんだから本人にも強かな面は確かにあるのかもしれませんね。
しかし、jazz、音楽映画の側面として満足の行く物。エッダ・マグナソンの歌の水準がかなり高い。本物をも凌駕するんじゃないかって。
帰ってモニカ・ゼタールンドのアルバムを聴き直したけれど。映像が加わるプラス要素があるにしても、エッダ・マグナソンの方が上なんじゃないか、って・・・
どうにもスウェーデンの歌姫様には不利な要素ばかりですが・・・
特にクライマックスに持ってくる母国語で歌うビル・エバンスの名曲「ワルツ・フォー・デビー」は圧巻です。
元々この曲は美しいメロディが印象的なんですけれど、いや、これにはまいりました。
そのステージの後にかかってくる電話なんかで一応の見せ場も作られ・・・、それまで、少し凡庸な音楽映画程度の印象が1曲で覆されちゃう。
父親との関係がね・・・
あ、そうそう、モニカ・ゼタールンドの父はサックス奏者。母はベース奏者だったんです(ライナーノーツよりの知識)
父親(シェル・ベリィクヴィスト=好演)がミュージシャンであった事を感じさせるワン・シーンはあったけれど、あまり説明的では無い。物語上かなり重要な要素だけどね。
母親に至ってはミュージシャンだったとはとても思えない。
トミー・フラナガン、ダグ・ワトキンス、エラ・フィッツジェラルド、ビル・エバンスなどが登場しますが、モニカ以外はあまり似せようという意識は無い。まぁ、そっくりさん映画を作るわけじゃないから、これは問題なしです。
この映画は、色彩の使い方がとっても好ましいんです。
レトロ・スウェーデンといった風。
チラシでも大胆に使われている、ちょっとくすんだブルー。
映画が始まった当初にモニカがストックホルムへの行き帰り使うバスの色、バスから降り立つモニカのマフラーが同じブルーで洒落てるなぁと思ったら、次から次へとこのブルーの衣装が出てくる。ブロンドに良く似合うんですよ。
なんとも好きな色ですね。ブルー・グレイというか、ビアンキのチェレステともちょっと違う。
そして最後にもう一点。
モニカの娘を演じる子役が健気でとってもカワユイのです。
ナディア・クリステアンソンという女の子です。
歌とナディアだけでも観る価値ありでした。
新宿武蔵野館