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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「毛皮のビーナス」

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「毛皮のビーナス」2013年 仏 監督:ロマン・ポランスキー

マゾヒズムという言葉を生んだ、レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの小説「毛皮を着たヴィーナス」にインスパイアされた戯曲を実写化したサスペンス。


映画の情報を仕入れた時に思い浮かんだのはマルキド・サド原作の実相寺映画「悪徳の栄え」
しかしながら、「悪徳の栄え」より100倍は面白い。

実は昨年レンタル屋さんで旧作3枚借りようとカウンターに持って行くと「キャンペーン中だからもう1枚旧作を借りると安くなりますよ」と言われて再度物色のうえラウラ・アントネッリの「毛皮のビーナス」を借りたのでした。ところが案の定、レンタル期間中4本も観賞する時間が無く、未見のまま返却してしまった。

脚本演出家のトマがビッチ感溢れさせての後登場の女優ワンダによって強引にオーディションを始めさせるのだが、この女がひとたび演技になると劇中のワンダを見事に演じて見せる。次第にその魅力に魅かれ形成逆転、ワンダに支配されていく。
マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」の詳細までを知らない事がかえって現実と芝居の境目を曖昧とさせていくのが味噌であります。
トマ=ゼヴェリーンは監督ロマン・ポランスキー自身であったりするようだから3重構造?
いやトマと同様、美しいとも思えないワンダ(エマニュエル・セニエ=監督の奥様)に魅了されていく男性観賞者である自分も含めると4重構造とも言えなくもない。



戯曲のオーディションであるために、小道具が揃っておらず、演者のワンダが仕方噺の態となり、抱擁、接吻、殴打なども直接は触れる事が無い。
返って妄想を掻き立てられるので、直接的なエロシーンはほとんど無いにも関わらずエロティシズムは充分感じられちゃう。げに恐ろしきは妄想。
そしてSE使い方も非常に作品に魅力を与えていました。
ワルキューレの着信音、あれはユーモアの範疇かな。

やはり観賞中、ワンダは一体何者なのかという謎がどうしたって気になります。
終盤に謎解きめいた事を言い出すワンダではありますが真相は曖昧のまま。そこも好ましいし、トマと一緒に支配下に入ればそんな事ぁ、どうだって良くなるって物。

セリフの応酬による作品で、まぁ台詞がふんだんにあり、字幕に頼らざるを得ないわけですが、訳の良し悪しは不明なれど非常にすんなり頭に入っていくので字幕は成功しているって事で良いと思います。

ビッチなエマニュエル・セニエのTATOOを施した二の腕のたるみが実に良いです。
トマのマチュー・アマルリックもとても良いですね。



ラストで一応のカタルシスを見せます。エンディングには意表を突かれました。

これは、ラウラ・アントネッリの「毛皮のビーナス」を借り直さないといけませんね。あ、「青い体験」も未だ借りて無いや。



ヒューマントラストシネマ有楽町


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