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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「この庭に死す」

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「この庭に死す」1956年 仏・墨 監督:ルイス・ブニュエル
LA MORT EN CE JARDIN

山師のクラークは金の採鉱者たちが集まるキャンプ近くの村にやってくるが、地元の警察に拘束されてしまう。彼が近隣で起きた銀行強盗に絡んでいるというのだ。しかも、今度は警察が金鉱を州のために没収してしまったので、採鉱者たちが暴動を起こすが、それも平定されてしまう。クラーク、リザルディ神父、キャスティンとその娘、そしてキャスティンの情婦であるジンの5人はこの機に乗じてジャングルに逃げ込むが、それは彼らの命がけのサバイバルの始まりだった。

ルイス・ブニュエルのメキシコ時代の密林サバイバル物と来りやあ期待も膨らむ。

映画はとある南米の村での採掘労働者と政府軍の対立に主人公のシャークが巻き込まれる前半部と、逃亡の果て密林を彷徨う事となる後半部。
政府軍のデタラメさと、最初の登場から腹黒さむき出しの娼婦ジンによって前半部もそれなりに面白い。ただ前半部の終盤、シャークが脱走を試み軍との銃撃戦になるのだが、このドンパチが子供の拳銃ごっこのようで情けない。だから銃撃戦が長く感じる。
それ以外は文句無しの面白さだけに残念。
南米気質同様ブニュエル監督自体が痴れ者になって撮ってる感があるので面白い。ほんと、どうかしてる話の展開。



ジャングルに逃げ込む人たちは、銀行強盗の冤罪で捉われた山師でシャークの異名を持つクラーク(ミシェル・マルシャル)
母国フランスに食堂を開くのが夢の基本善人のカスタン(シャルル・バネル)これも革命の際、無実であるのに反乱者の疑いがかけられている。
そのカスタンの聾唖の娘マリア(ミシェル・ジラルドン)
カスタンに求婚された娼婦の悪女ジン(シモーヌ・シニョレ)
インディオへの宣教にやってきたリザルディ神父(ミシェル・ピコリ)
の5人。
もう、それぞれが登場シーンからバツグンの印象を残すキャラ。特にシャーク、マリア、ジンの初登場シーンは特筆物。



極限状態で本性が向き出しになっていくという、後々のサバイバル物テーマは当然あるのだけれど、あまり極端にはならず、それぞれの人間関係が微妙に変化していく様がじんわりと面白い。
密林を彷徨う事になっての変化、墜落した飛行機の残骸を発見してからの変化。
唐突にジャングルの草木に髪をこんがらかせるというイノセントな魅力を湛えるもの言わぬマリアまでも変化。
水野久美といった役所のシモーヌ・シニョレのビッチぶりは重要なポイント。
良きにつけ、悪きにつけ、密林サバイバルでは参加女子が魅力的であれば、ほぼ成功ってなもんですから。



ジャングルでは蛇の死骸に蟻がたかっていたり、ブニュエルらしいシュールなカットも差し挟まれるけれど、基本的にはとってもエンターテイメント。

メキシコ時代のブニュエル作品は今後も出来る限り観ていきたいと思っております。



キネカ大森

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