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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「雨」

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「映画史上の名作12」

「雨」1932年 米 監督:ルイス・マイルストン (16mm)

サディ・トンプスンは同船した一行と共に、嵐を避け孤島の旅篭に宿を定める。サディの部屋から流れる“セントルイス・ブルース”。彼女を忌み嫌う偽善的な牧師の妻に、信仰の力で改心させてみせると豪語する夫。彼女の職業は伏せられているが、そこに近づく男の目付きでそれと知れる。一度は更生を牧師に誓い、神の名を唱える彼女。繰り返し聞こえていたレコードの音は止んでいる。しかし、嵐の到来と共に牧師の胸はざわついて、背徳への衝動にのまれてゆく……。

サマセット・モーム原作(ミス・トンプソン)の文芸作品のはずなんだけれど、娼婦サディが牧師と激しいく渡り合った末、信仰に目覚める豹変ぶりが唐突なのでオカルト・ホラーの様相を呈する。洗脳ものとして見れば秀逸。
結局、牧師が肉欲に負けて、一夜にして洗脳が解けちゃうって事で良いんだろうけれど、あそこは一夜の出来事よりも牧師の死により、元に戻ったって考えた方が、特撮ヒーロー物の怪人による呪いみたいで面白い。

牧師・ウォルター・ヒューストンの聖人ぶったいけ好かない演技が出色。(女房は輪をかけていけ好かない)
だけど「結局男はそういうもの」という作品なら、この日から下の階で上映が始まった「ニンフォマニアック」の方が数万倍面白いけどね。80年の時代の隔たりで比べられるのは流石に不利か。

1932年、サイレントからトーキーへの移行期。オープニングの振り出す雨の描写とか、サイレント的で見事。
歌いながらレインコートで行軍する軍人。

降りしきる雨と土人の太鼓が人心を取りみださせるという効果もきわめてオカルトチックで良い。岡田茉莉子の「土砂降り」以上に粘質な雨・・・
そうそう、土人映画としての側面も楽しめます。

ジョーン・クロフォードは厚化粧で奔放な娼婦役が生き生きとしていて良い。
それだけに神に目覚めた姿が痛々しい。

シネマヴェーラ渋谷

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