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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「学生妻 しのび泣き」

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「加藤彰 たゆたう愛」

「学生妻 しのび泣き」1972年 日活 監督:加藤彰

今は鳴かず飛ばずの、元人気GSバンドのボーカルのジミーと、彼の追っかけだった夕子。二人は四畳半で同棲し、夕子はけなげに彼につくしている。タイトルバックでうっすらと笑いを浮かべて、学生服のまま二人の部屋に戻る片桐夕子の儚さ。ジミーは他の女と寝たり、夕子を売って麻雀の借金をチャラにするようなひどい男だが、夕子の盲目的な愛で二人は離れることができない。寂しい木枯しが吹く中で思いつめていく少女が悲しい。

歌手ジミー(加島功)の存在が1972年をよく現した作品でGSブームは既に去り、フォークが注目を浴び来るべき全盛を予感させていたあの頃。
物語としてはありきたりで陳腐。退屈極まりない。
そこはそれ日活ロマンポルノの強み。退屈でも片桐夕子、白川和子の裸、濡れ場が救い。あとはロケ地が良かったですね。
冒頭のスクラップ工場、京浜工業地帯の煙突。貨物の操車場。片桐夕子が強姦される廃墟・・・

それにしても女優陣。看板の2人と3番手以下の差がでかいな。牧恵子、曽野節子、山口明美・・・

もんぺみたいなのを履いてやきとり屋をやってる夕子の母親、白川和子が相変わらず良い。
店では娘にお姉ちゃんと呼ばせてる。貧乏や薄幸が似合うんだよね。育てる事も出来ないのにしょっちゅう子猫を拾ってくるだらしなさ。中指の包帯もなんか良い。
濡れ場は娘の寝ている隣で毛布咥えて声をかみ殺して。エロいっす。
ジミーが店に来て、夕子を連れ出す時、小遣いを渡してやって「高校だけは行くんだよ」・・・

片桐夕子はセーラー服にカーディガンで女子高生を主張しますが、どうでしょう・・・。
でもアパートに帰ってきて、おもむろに散らかった食卓を片づけたりする姿がなんか良い。

落ちぶれたジミーのヘタレ具合も凄い。女にゃ不自由しなかっただろうに、今や、夕子を捨てて他の女と寝ようとしても寸止め食らってお預け。おまけに麻雀も喧嘩も弱い。夕子に対してはひどい仕打ちをするけれど彼女の盲目的愛に非情になれず、離れられない。夕子の存在だけが過去の栄光の痕跡なのだ。

フォーク歌手での再起を促すお嬢様、嫉妬から「あの女(夕子)を売り飛ばして酷い目に会わせたい」って、どんな事になるのかと思ったら紳士的な盲人に売っただけ。夕子も自力で易々脱出。廃墟での輪姦に比べれば手ぬるい。

ラスト、ジミーさん、そこは救急車呼んであげて。当て逃げだし・・・、あのシーンは家に連れ帰らなくても路上で良くない?
どこまで行ってもダメな男・・・

ラピュタ阿佐ヶ谷

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