「加藤彰 たゆたう愛」
「愛に濡れたわたし」1973年 日活 監督:加藤彰
失踪した妻を探す京平は港町を訪れ、美和と成り行きで関係を持つ。京平は妻を探しながらも美和との交際が始まる。美和は謎めいた行動をとり、妹と名乗る女も現れ、たびたび「あなたの奥さんの居場所がわかった」と言いながら、京平を露骨に欺き続ける。
これはまた何ともミステリアスな作品。確かにミステリアスというよりストレンジという言葉の方が合ってる。
美和(宮下順子)と京平の半同棲な生活が始まる中、太ももの包帯に隠された蛇とJNのイニシャルの刺青。そこから妄想シーンで背中一面に刺青を施した宮下順子の妖艶な美しさは必見なんですが、これはまだミステリアス展開のほんの序の口。
一寸先の展開もまったく読めないストレンジテイストは月子(青木リサ)という妹の登場から加速していく。
次から次へと登場する男女は皆、謎を解明する鍵を握っていそうでいて決してそうではない。
中にはポルノだからこういうシーンも入れておきましょうね。という欲張ったシーンもある。電話ボックスで犯される美和とか・・・
普通このように欲張ると収拾がつかなくなったり、焦点がボケてしまったりしそうなもんだが、これが不思議とそうはならない。
なんたって見ていて面白いのだから仕方ない。
そこには芸術を気取った難解さは微塵もなく、いたってオーソドックスなポルノシーンだったりシチュエーションだったり。実はこれ脚本構成が相当練られているんじゃないか。
これが現代の下手なピンク監督が撮ったら突拍子もない駄作ができあがりそうな雰囲気満々(実際そういうピンクは多い)なのにそうはならない。
「照子を隠しているな」とサングラスの小池(高橋明)の参入。トルコの照子が美和の正体かと思うとそうではなく、これは京平同様失踪妻を探している男。妻との人違いで美和とも接触する小池。
真相を語る高橋明の「俺はちゃんと仕事もしているし、カラーテレビだってある。子供も居る。そりゃあ殴ったけれどもそんな事でへこたれる女じゃないんだ」っていう独白がナイス。
京平がトルコ街で美和を見かけ後を追い店に入って「さっき入ってきた娘」と指名してみるとまったく違う女が出てきて、仕方がないからトルコサービスを受ける。
京平の失踪妻を調べている興信所のノーブラ・スリムな女探偵も京平に惚れていて脱ぎ要員。この興信所女が京平の知りたくもない美和の性悪な過去の男の事を調べて京平の耳に入れる。
美和のアパートに行ってみると、小池と情事の最中で京平には小池がJNに思える仕掛けも面白い。
さらには火葬場で二の腕に「美和いのち」と刺青した男と格闘になるがこれも本命男では無い。本命(長弘)はラストに登場し、衝撃的な結末を・・・
ストレートなクレオパトラヘアで登場する中川梨絵に至ってはまったく何者なのか解らない。
そこはそれ宮下順子と二大女優ですからこの二人のシーンはかなり見所になる。
侍らしている若い男たちに土手で美和を輪姦させる。美和は秘技で次々と男を昇天させ、太ももの刺青に気付いた男たちは怖気づいて逃げ出す中、中川梨絵が刃物で刺青部分を十字に切りつけると、宮下順子が「それを貸しなさい」と刃物を奪い自ら刺青を抉るという痛いシーン。
明らかに欺いていて何らかのたくらみがある美和に翻弄される京平だが「不思議な女だ。騙されることが気持ち良いと感じる」と言ってるが
見ている方も映画の展開に翻弄されながらも不思議と気持ち良くなる。
京平と警官のシュールなやりとりなんぞは文学的でもあり安部公房っぽくさえある。
全編に流れるありきたりなジャズも、往年の日活アクションっぽくてストレンジな作風に妙に嵌ってる。
心理の読めないミステリアスな美和ではあるけれど、宮下順子の抱かれの演技の素晴らしさと、垣間見せる可愛らしさによって女の一途さを現しているのも見事。
ロマンポルノ観賞可能年齢に達する前からの憧れの女神、宮下順子様も、他の多くの魅力的なポルノ女優さんに出会ってからは自分の中で存在感が薄まっていたけれど、宮下順子の魅力を再認識できた作品でもある。
もんぺ姿で畑を転んでシャケ弁を撒き散らしてしまう宮下さんが良い。
これは、またまたお気に入りのロマンポルノ作品に出会ってしまいましたとさ。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「愛に濡れたわたし」1973年 日活 監督:加藤彰
失踪した妻を探す京平は港町を訪れ、美和と成り行きで関係を持つ。京平は妻を探しながらも美和との交際が始まる。美和は謎めいた行動をとり、妹と名乗る女も現れ、たびたび「あなたの奥さんの居場所がわかった」と言いながら、京平を露骨に欺き続ける。
これはまた何ともミステリアスな作品。確かにミステリアスというよりストレンジという言葉の方が合ってる。
美和(宮下順子)と京平の半同棲な生活が始まる中、太ももの包帯に隠された蛇とJNのイニシャルの刺青。そこから妄想シーンで背中一面に刺青を施した宮下順子の妖艶な美しさは必見なんですが、これはまだミステリアス展開のほんの序の口。
一寸先の展開もまったく読めないストレンジテイストは月子(青木リサ)という妹の登場から加速していく。
次から次へと登場する男女は皆、謎を解明する鍵を握っていそうでいて決してそうではない。
中にはポルノだからこういうシーンも入れておきましょうね。という欲張ったシーンもある。電話ボックスで犯される美和とか・・・
普通このように欲張ると収拾がつかなくなったり、焦点がボケてしまったりしそうなもんだが、これが不思議とそうはならない。
なんたって見ていて面白いのだから仕方ない。
そこには芸術を気取った難解さは微塵もなく、いたってオーソドックスなポルノシーンだったりシチュエーションだったり。実はこれ脚本構成が相当練られているんじゃないか。
これが現代の下手なピンク監督が撮ったら突拍子もない駄作ができあがりそうな雰囲気満々(実際そういうピンクは多い)なのにそうはならない。
「照子を隠しているな」とサングラスの小池(高橋明)の参入。トルコの照子が美和の正体かと思うとそうではなく、これは京平同様失踪妻を探している男。妻との人違いで美和とも接触する小池。
真相を語る高橋明の「俺はちゃんと仕事もしているし、カラーテレビだってある。子供も居る。そりゃあ殴ったけれどもそんな事でへこたれる女じゃないんだ」っていう独白がナイス。
京平がトルコ街で美和を見かけ後を追い店に入って「さっき入ってきた娘」と指名してみるとまったく違う女が出てきて、仕方がないからトルコサービスを受ける。
京平の失踪妻を調べている興信所のノーブラ・スリムな女探偵も京平に惚れていて脱ぎ要員。この興信所女が京平の知りたくもない美和の性悪な過去の男の事を調べて京平の耳に入れる。
美和のアパートに行ってみると、小池と情事の最中で京平には小池がJNに思える仕掛けも面白い。
さらには火葬場で二の腕に「美和いのち」と刺青した男と格闘になるがこれも本命男では無い。本命(長弘)はラストに登場し、衝撃的な結末を・・・
ストレートなクレオパトラヘアで登場する中川梨絵に至ってはまったく何者なのか解らない。
そこはそれ宮下順子と二大女優ですからこの二人のシーンはかなり見所になる。
侍らしている若い男たちに土手で美和を輪姦させる。美和は秘技で次々と男を昇天させ、太ももの刺青に気付いた男たちは怖気づいて逃げ出す中、中川梨絵が刃物で刺青部分を十字に切りつけると、宮下順子が「それを貸しなさい」と刃物を奪い自ら刺青を抉るという痛いシーン。
明らかに欺いていて何らかのたくらみがある美和に翻弄される京平だが「不思議な女だ。騙されることが気持ち良いと感じる」と言ってるが
見ている方も映画の展開に翻弄されながらも不思議と気持ち良くなる。
京平と警官のシュールなやりとりなんぞは文学的でもあり安部公房っぽくさえある。
全編に流れるありきたりなジャズも、往年の日活アクションっぽくてストレンジな作風に妙に嵌ってる。
心理の読めないミステリアスな美和ではあるけれど、宮下順子の抱かれの演技の素晴らしさと、垣間見せる可愛らしさによって女の一途さを現しているのも見事。
ロマンポルノ観賞可能年齢に達する前からの憧れの女神、宮下順子様も、他の多くの魅力的なポルノ女優さんに出会ってからは自分の中で存在感が薄まっていたけれど、宮下順子の魅力を再認識できた作品でもある。
もんぺ姿で畑を転んでシャケ弁を撒き散らしてしまう宮下さんが良い。
これは、またまたお気に入りのロマンポルノ作品に出会ってしまいましたとさ。
ラピュタ阿佐ヶ谷