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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「女体」

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「昭和の銀幕に輝くヒロイン[第77弾]団令子」

「女体」1964年 東宝 監督:恩地日出夫

戦後の街を街娼として生き抜き、今は平穏な結婚生活を送るマヤの数奇な人生を描く。「肉体の門」「埴輪の女」を原作に、女の性を鋭く追及した力作。過激なシーンに体当たりで臨んだ団令子の演技は圧巻。

これ、鈴木清順の傑作「肉体の門」と同年に公開されてるんですね。恩地監督の方の存在は知らなかった。
カラー作品とモノクロ作品の違い。それでいてどちらも違った意味で美しい・・・

「埴輪の女」は未読ですが、2つの話を繋いだところが妙に興味深い作品になってます。
戦後のドサクサと高度成長期の時間経過。戦争を知らない世代にとっては、ちょっと驚く。時代設定からして登場する小学生は我々の少し先輩になる。マヤたちも母親より少し先輩になるだろう。しかし、考えてみれば阪神大震災からもう20年、東日本大震災からもあっという間に時は流れるんですよね。この作品で両親の体験した戦争の時間的なリアルさというものをあらためて感じてしまった。
ある意味「戦後」という時代・言葉を強烈に意識せざるを得ない作品として秀逸。



戦後浮浪児時代、唯一の男である伊吹(南原宏治)と牛一頭、解体するシーンが印象的。モノクロの技。
伊吹に抱かれて、初めて女の喜びを知るマヤ。掟破りで宙吊りされるマヤ。ここはモノクロの暗い画面なのが惜しいが吊るされる団令子は見ものだ。

ヤク中の伊吹の自殺シーンもえげつなくリアリティを追及。



現状になんとなく不満を持つ関東小雅(楠侑子)とマヤが互いに相手の生活に憧憬しているさまとかも良い味になっている。
亭主の大事にしている埴輪を壊してしまった時は、スワ、麹町の猿かモロコシか?と思ったけど、それは関係ない。良い亭主です。
ほんのチョットの役だけれども坂本スミ子のさえない感じが実によろしい。

ただ、またしても団令子に対するイメージが揺らぎ始めている。きっとイイ役者ってことなんだと納得させておく。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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