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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「蜘蛛男」

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本格ミステリ作家クラブ10周年記念企画「美女と探偵 〜日本ミステリ映画の世界〜」

「蜘蛛男」1958年 大映 監督:山本弘之

女性のバラバラ死体が発見される。警視庁の波越警部は犯罪学者の畔柳博士に助言を求めるが、蜘蛛男と自称する犯人の手掛かりは杳として知れない。ここに至って警部は、名探偵・明智小五郎の出馬を要請した。犯罪の天才・蜘蛛男と明智小五郎の対決を描いた怪奇探偵ドラマ。

最近原作を読んで、映画化されていることも知り、見たいと思っていた矢先の上映感謝。
「殺人鬼蜘蛛男」と「蜘蛛男の逆襲」という2編の連続上映だったんですね。
ずいぶん、半端なところで、しかも上映時間短く、終わったんで驚いたんですが、すかさず「蜘蛛男の逆襲」のタイトル。前編のタイトルに「殺人鬼」は入ってたっけか。

前編の猟奇事件推理劇、後編の江戸川乱歩特有のエログロは原作通り。特に前編冒頭は忠実で嬉しい。
けれどもストーリーは続いているもののずいぶん赴きが変わるもんですね。当時、上映時期の間隔ってどんな物だったのでしょう。

畔柳博士、つまり蜘蛛男の岡譲司の怪演が良いです。
美術商の老人稲垣に変装、畔柳博士、そして整形手術後と三つの姿があるが、稲垣老人変装時の粘着質な声と変体猟奇性が特に良いです。
整形手術後は鼻梁が異様に高く、蜘蛛男というより鼬男。ディズニー映画の怪人のようです。そんなに可愛くないか。いや、けっこうお茶目で可愛いよ。

問題は明智小五郎の藤田進。ウルトラ防衛軍長官などでお馴染みの藤田進の若き頃ではあるが既に中年。(当時46歳)
洋行帰りの明智という設定も、訛りがあるので田舎者風。そのためか、推理謎解きも饒舌にならず、明智の行動で推理している事を解らせる工夫があるようだ。
この辺は先に原作を読んでおいて正解。

畔柳博士の弟子の舟橋元も原作の印象に程遠い、ぽっちゃり小太り。

小林少年も出てきますが、たいして説明も無く(あえて説明するまでもありませんが・・・)

岡譲二以外の男優陣のトホホさに比べ、女優陣は皆、「美女と探偵」の名に相応しく、素晴らしいのでこの映画は○です。

里美絹江、芳江姉妹の二役八島恵子。可愛らしいお嬢様の妹と和服姿の麗しい姉。この姉の方が特に素晴らしく、見惚れてしまいます。被害者ですから残念ながらすぐに消えてしまうのですが・・・
女優 富士洋子は宮城千賀子の若かりし頃。これは「すべてが狂ってる」に続いての鑑賞となりましたが、こちらの役の方はスタイルも堪能できます。
明智の妹(河上敬子)なんていう女の子も登場。
後半のエログロ猟奇性を際立たせる肝心のパノラマ館にオブジェとして誘拐、展示されるバレエ教室の女子たち。これが全裸でなくセパレート水着で、ちっともエロくないのは時代のせいもあるんでしょうが、残念です。

蜘蛛男がこの恐ろしい犯罪に走る動機を語るんですが、動機の割にやる事が異常すぎませんか。そこが良い所なんですが・・・

前後編合わせて97分、退屈してるわけでもないのにずいぶんと長く感じておかしいなと思ったら、やはりこれは劇場側の発表の誤りで、実際は110分くらいの上映時間だったようです。

神保町シアター

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