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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「フルスタリョフ、車を! 」

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「特集 アレクセイ・ゲルマン」

「フルスタリョフ 車を!」1988年 露 監督:アレクセイ・ゲルマン
ХРУСТАЛЕВ,МАШИНУ!

また早稲田松竹の宣伝文全文掲載

主人公はモスクワの病院の脳外科医にして赤軍の将軍、ユーリー・クレンスキー。大富豪の長でもある彼は、病院と、家庭と、愛人のところを行き来する日々を送っている。決してアルコールを手放すことはない。
時は1935年、反ユダヤ主義の色濃い時代、将軍はスターリンの指示のもとKGB(秘密警察)が企てたユダヤ人医師を迫害する計画に巻き込まれてしまうことになる。気配を察して彼は逃げようとするが、すぐに捕らえられ、強制収容所で拷問を受ける。ところが突然解放されて、スターリンの側近ベリヤに、ある要人を診ろと言われる・・・。
タイトルの「フルスタリョフ、車を!」というのは、ソビエトの独裁者スターリンが息を引き取る直前、側近を通して命じたという言葉。映画は、そのスターリンの死の1953年に始まり、約10年後で終わる。
実に多くの人物が登場し、交わされる台詞も膨大な量で、それらには一見、脈絡がない。説明を廃して、ひたすら画面に映し出される「出来事」だけが描かれ、次々と転換していく。そのスピードは常人にはついてゆくのがやっとで、マーティン・スコセッ シ監督が「何が何だかわからないが、すごいパワーだ」と評したというほど。
「知性でロシアを理解することはできない。メジャーで測ることもできない」とゲルマン監督は語っている。

まさにスコセッシの言う通りですね。
未完のまま逝き、後裔に完成が委ねられた「神々のたそがれ」も凄かったが、ここで描かれる世界はSFでなく、スターリンの死から10年間のソ連の姿。
ニノチカが言っていた住環境。ニノチカで描かれた環境の方が現実に近いのだろうが、あの家の中にやたらごちゃごちゃ人が居て、好き勝手な事をやりはじめる虚構的な世界がたまらなく好き。勿論、意味なんて解りようもないけれど、そんな事は問題ではない。

特にブランク後の作品は物語そのものよりも映像の圧倒的パワーをこちらにぶつけてくるタイプなのね。

主人公の脳外科医が個性的で特徴的な風貌でありながら、スキンヘッドに口髭というよくあるタイプなので、少し前に観た「ブロンソン」のトム・ハーディと重なってしまう(似てねーよ!)という困った弊害はあったけれど・・・



それにしても観ていると制作者の緻密な計算を想像してしまう。混沌としていながら絶妙な計算の上に成り立っているとしか思えない。
なんですか、あの傘の開くタイミング。2度までも使ってます。そこには確実にユーモアが伴う。
目だけやたら大きい姉妹に強チンまがいの辱めを受ける息子。頭にふりかかる粉までの流れるような場面の進行。
他にも、意味不明な人間がフレームインしてくるタイミングや喋り出すタイミング。特に婆ぁの威力!
家の中はカオス状態でありながら実は監督の中ではちゃんとコスモスが保たれているんじゃないのかと思わせる。



前衛的で意味の解らないものは一歩間違えると腹立たしく思える時があるのだけれどこれはそんな事が一切無い。何故だろう。
マスターベーションに終わらず、コチラをもちゃんと官能の中に連れて行ってもらえる。

例によって一度だけではとても受け入れきれない。堪能したという充足感ともっともっと深く味わいたいという欲求。

現在、コレYOU TUBEで全編観賞可能です。
少し観てみたけれど、字幕が無いのでますます混沌として来ますが映像という面では字幕を追う事に捉われず堪能する事ができます。
字幕入りソフト購入前に、何べんもコイツを観るのはいいかもしれない。
いい加減観続ければ、もうソフトの必要が無くなるか、それも良いし。記憶に残っていない台詞、何を言ってるんだか知りたくて、やっぱりソフトを買ってしまうのか、それもまた良し。





Хрусталев, машину! - фильм смотреть полную версию

早稲田松竹


フルスタリョフ、車を! [DVD]

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