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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「の・ようなもの のようなもの」

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「の・ようなもの のようなもの」2015年 松竹 監督:杉山泰一

東京の下町、師匠・出船亭志ん米の自宅に住み込み落語の修行に明け暮れる出船亭志ん田は、ある日かつて一門に在籍していた志ん魚を捜してほしいと師匠から頼まれる。志ん魚の消息を求めて師匠の弟弟子・志ん水や昔の門下生たちを訪ね回るが、手掛かりをつかめずにいた。やがて志ん米の娘・夕美も志ん魚捜しを手伝うことになり……。

森田芳光劇場デビュー作を35年の時を経て、森田監督没後に製作された続編。
日本映画で一番好きと言っても過言でない作品だけに、そのニュースを聞いた時に嫌な感じがしたんですよね。そっとしておいて欲しいかな。みたいな・・・
「の・ようなもの」以降落語題材、落語家題材の映画って増えたように思うけど、あまり観たいとは思わないですし。本作もしかり。それでも志ん魚の35年後となれば観ておかないわけには行かない厄介さ。困ったもんです。

落語家題材の作品としては普通に面白く観れると思うんですけど、奇跡のよな森田芳光デビュー作とどうしても比べちゃうんですよね。
前作ファンにとっては、それぞれの若手の35年後の姿を確認する面白さはありますけど。
前作と比べると、そのセンスがもうぜんぜん違うんで、そこはやっぱりイヤだな。ちゃんとオマージュも捧げられてはいるんですけど、まぁ、これは仕方ない所ですかね。

役者さんたちも森田作品ゆかりの人々が総出演。これに関しては、「の・ようなもの」に感銘しながらも「ときめきに死す」「家族ゲーム」くらいしか森田作品を観ていない不届き者ですので、何も言いません。

アル・パチーノ似だった伊藤克信の悲惨な成れの果て。それでも徐々に憎めない志ん魚の人間性が戻ってきたようで一安心・・・
本作では、伊藤克信もそうですけれど、志ん肉の小林まさひろの姿を見れたのが貴重でした。

35年、時が流れ現実の落語会の方も寂しいものになっています。
当時の柳朝、扇橋のように本物が落語家役で出てくる事は敵いません。今の落語家であの役ができる人が居るかしら。それはこちら側も年をとって同年代の落語家から探さなければならない哀しさがあるからなんでしょうけど・・・
志ん橋師が落語家役でなく、老人役で出てくるのが哀しい。

松山けんいちの志ん田は良かったと思いますよ。「でめきん」もね。極度の潔癖・几帳面さという心的ハンデを持っているキャラ設定も良いと思います。
最近、ワイドショーで幸福そうな、北川景子さんの演技を観るのは初めてです。ずいぶんガサツにばたつく娘役で、印象とかなり違いました。

問題は尾藤イサオ。前作では軽い兄さんの役が自然で嵌っていたのですが、真打ちになって妙な落語家口調を駆使せねばならなくなってしまい残念な出来と思います。

志ん魚は前作同様「二十四孝」で撃沈。その後、道中付けが聞かせ所の「黄金餅」で何故か味を出し、関係者を納得させる。
内海桂子先生が健在で志ん魚の復活に重要な役割を果たす婆さん役。これは凄い、御歳93歳、お見事!

本作の一番の良心は年老いたエリザベス嬢(秋吉久美子)を引っ張り出さなかった事。そこは大評価です。





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