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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「実録阿部定」

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「映画作家 田中登」

「実録阿部定」1975年 日活 監督:田中登

社会を震撼させた阿部定事件を映画化・血文字で書かれた「定、吉二人キリ」など随所に田中登の美学が冴えわたり、生と死の間で狂い咲く男女の情念を濃密に描いた日活ロマンポルノ屈指の名作。二・二六事件もどこ吹く風と、密室で情事に耽る二人を「四畳半襖の裏張り」以来の名コンビである宮下順子、江角英明が演じる「昭和史三部作」第一弾。


これは随分昔に上野で宮下順子特集の中の1本として鑑賞しているはずですが、細かい事はほとんど憶えていません。ひょっとすると同類の「四畳半襖の裏張り」と混同しているのかもしれないという気がして確認のため鑑賞。
確かにこれは、見たことあります。再鑑賞です。

10年前に大島渚監督の「愛のコリーダ」を見ましたが、こちらも今となっては、ほとんどが性描写でうんざりした記憶がある程度になってしまいました。
だから比較が朧げでままならないのですが、多分、自分は大島渚版よりこちらの方が好きだと思います。
それは本番映画と疑似のロマンポルノという違いがあるにも関わらず、田中登版の方のエロさです。
ひとえに宮下順子のエロ演技に尽きます。
こういう情念の女、ドロドロの役をやらせた時の宮下順子こそがロマンポルノの女王と言えましょう。「四畳半」しかり、「赫い髪」しかり・・・



定役としては宮下順子の綺麗さよりも松田映子の方が凄味があって良いとは思うのですが・・・
記憶違いかもしれないけれど「愛のコリーダ」よりも吉三が定に主導権を取られ埋没している感が際立っているようにも思います。江角英明がまた良いのです。
密室に閉じこもっての息苦しく匂ううような二人の世界。その匂いまでも愛おしむ定。

唯一、笑えるシーンとして花柳幻舟の芸者が2人を前に「やってらんないわ」の三味線。「国境の町」
幻舟は「色情めす市場」に比べ、まとも過ぎて、ぜんぜん魅力的ではありませんが笑えるのが良いですね。

そして事件に及んで、一物を吉三のらくだ下着を着こんだ着物の腹に隠し持ち束の間の逃亡生活に充分な尺を割いて、単なる性描写作品に終わらない良さがあります。
ここで流れる歌(歌っているのはご本人でしょう。)の歌詞がふるってるんですよね。

誰もがすることをした・・・

誰もしないことをした・・・

今回、劇場で販売しているサントラの中にこの曲が入っていないのが惜しい。
そのサントラ、一時、amazonで高値がついていたり入手困難な時期がありましたが、手頃な価格で既に入手しております。
記事UPをしていると思ったのですが、していないようなので、後でUPしておきます。





定・吉二人

定・吉二人キリ

オープニングの文字情報とエンディングの文字情報に実録物としての田中登美学。

押収証拠品

包丁
腰紐
局部

局部ってのがイイ。



シネマヴェーラ渋谷

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