「成瀬になれなかった男 映画作家・千葉泰樹」
「がめつい奴」1960年 東宝 監督:千葉泰樹
釜ヶ崎で一泊30円のドヤを営む因業ババア(”母もの”でお馴染の三益愛子)を中心に、美人局やヒモ、エロ写真売りなどの曲者住人達が繰り広げる傑作群像喜劇。庶民のバイタリティというには行き過ぎたがめつさを、これでもかと描く千葉演出が素晴らしい。怪しいポンコツ屋をノリノリで演じる森雅之にも注目!
4月鑑賞作品から
三益愛子は幼い頃、親から「母もの映画」の人と聞かされたことを何故か鮮明に憶えていて「母もの映画」なんて絶対観ないだろうし、自分の中で勝手にイメージを作っていました。
だから、この因業ババアが三益愛子ですと言われてちょっと驚きなのです。実はどうやら三益愛子のもう一つの側面としてこういうBBAキャラっていうのがあるらしい。
本作はそんな三益愛子を始めとして出演している豪華キャスト陣の多くはそれまでの役にない意外なキャラを演じている面白さがある。いつもと同じなのは高島忠夫と団令子のヤング・カップルぐらいでしょうか。
一番は森雅之のポンコツ屋。確かにノリノリ、楽しそうに演じられていらっしゃる。
その森雅之の女房でロシア混血女の役が、誰かと思えば安西郷子。この方も詳しくは知らないけど、こんな役は異色でしょう。
エキゾチックな顔立ちに染められた髪が印象的な美人で、今でいうとローラみたいに可愛さ(髪の色だけじゃろが)
草笛光子。
今や、髪を染めたお化けBBAですが(失礼)、本作ではまさにドヤ街にあって、はきだめに鶴の美しさ。
やはり往年の美人女優、今、いくら年の割に綺麗と言っても若い頃には敵いませんやね。
森雅之にコロっと騙されるのが、なんとも可愛い。
舌足らずのどブス子役(テコ)が出ていると思ったら、これがなんと中山千夏。素晴らしい低能ブスっぷりです。天才の片鱗。
森繁久弥はこのテコや因業ババアに一杯食わされるおっちゃん。こちらも、普段は一杯食わす方が多いんじゃないですか。情けないサルマタ姿が良いです。
実を言うと美人局の原知佐子に大いに期待していたのだが、これは美人局シーンもな無いし、出番も少なくちょっと残念。
でも原知佐子さんは出ているだけで満足すべきお方なので、文句は言うまい。
とにかく名優たちの珍芸の楽しさにやられる珍作で楽しかった。
シネマヴェーラ渋谷
「がめつい奴」1960年 東宝 監督:千葉泰樹
釜ヶ崎で一泊30円のドヤを営む因業ババア(”母もの”でお馴染の三益愛子)を中心に、美人局やヒモ、エロ写真売りなどの曲者住人達が繰り広げる傑作群像喜劇。庶民のバイタリティというには行き過ぎたがめつさを、これでもかと描く千葉演出が素晴らしい。怪しいポンコツ屋をノリノリで演じる森雅之にも注目!
4月鑑賞作品から
三益愛子は幼い頃、親から「母もの映画」の人と聞かされたことを何故か鮮明に憶えていて「母もの映画」なんて絶対観ないだろうし、自分の中で勝手にイメージを作っていました。
だから、この因業ババアが三益愛子ですと言われてちょっと驚きなのです。実はどうやら三益愛子のもう一つの側面としてこういうBBAキャラっていうのがあるらしい。
本作はそんな三益愛子を始めとして出演している豪華キャスト陣の多くはそれまでの役にない意外なキャラを演じている面白さがある。いつもと同じなのは高島忠夫と団令子のヤング・カップルぐらいでしょうか。
一番は森雅之のポンコツ屋。確かにノリノリ、楽しそうに演じられていらっしゃる。
その森雅之の女房でロシア混血女の役が、誰かと思えば安西郷子。この方も詳しくは知らないけど、こんな役は異色でしょう。
エキゾチックな顔立ちに染められた髪が印象的な美人で、今でいうとローラみたいに可愛さ(髪の色だけじゃろが)
草笛光子。
今や、髪を染めたお化けBBAですが(失礼)、本作ではまさにドヤ街にあって、はきだめに鶴の美しさ。
やはり往年の美人女優、今、いくら年の割に綺麗と言っても若い頃には敵いませんやね。
森雅之にコロっと騙されるのが、なんとも可愛い。
舌足らずのどブス子役(テコ)が出ていると思ったら、これがなんと中山千夏。素晴らしい低能ブスっぷりです。天才の片鱗。
森繁久弥はこのテコや因業ババアに一杯食わされるおっちゃん。こちらも、普段は一杯食わす方が多いんじゃないですか。情けないサルマタ姿が良いです。
実を言うと美人局の原知佐子に大いに期待していたのだが、これは美人局シーンもな無いし、出番も少なくちょっと残念。
でも原知佐子さんは出ているだけで満足すべきお方なので、文句は言うまい。
とにかく名優たちの珍芸の楽しさにやられる珍作で楽しかった。
シネマヴェーラ渋谷