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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「谷ナオミ 縛る!」

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「ゆきてかえらぬ渡辺護 官能の映画旅」

「谷ナオミ 縛る!」1977年 新東宝 監督:渡辺護

奈美子は、生きた女の顔を求めて女中たちを縛る能面師の夫。敬一郎のあり方に耐えていた。だが、義弟の良介が自分に思いを寄せるあまり、納得が行く能面が打てず苦悩していることを知り・・・。

渡辺護がにっかつの谷ナオミを使っての1本。SM変態(そうか確かに変態ではあるが)映画にしたくないってんで文芸作品に仕上げた。元になっているのは立原正秋の「薪能」
どうやら原作「薪能」というよりもピンクで「薪能」をやろうとした脚本。これが良い。書いたのは高橋伴明。

立原正秋は昔からその作品のあらすじを垣間見てジャンル違いであるな、と敬遠し続けていたので読まず嫌いを通しておます。
もちろん「薪能」は変態SM小説ではありませんが、短編らしい事だし、本作の印象が薄れる前に読んでおきたい。
脳内読書欲はまだまだ旺盛であるものの器官としてのお目々が衰え、活字を嫌がってる老化の現状。年始めに眼鏡作って立てた読書目標もままならず、近い将来の性欲の行く末を見るようで厭な気持ちになりますな。(そっちの方は、まだ辛うじて脳内が器官を鼓舞しておるようです)

・・・話が逸れました。

片っ端から女中に手を出す敬一郎(鶴岡八郎)に耐えかね「抱いてください」と縋りつく奈美子(谷ナオミ)が超エロくて良い。
それを冷ややかな目で見る今まで寵愛を受けていた女中というシチュエーション、充分、変態SM映画と思いますが・・・

勿論、緊縛シーンもあります。谷ナオミさんは縛られるのも絶品の肉体ですが緊縛以外のシーンでのエロさこそが値打ちと思ってます。
そもそも、派手目メイクの谷ナオミ(昔は苦手だったが今は大歓迎)の顔と能面の取り合わせが絶妙な怪しさを醸して効果的。ぴったり能面より、かざす感じで谷ナオミのエロ顔が見えてる状況が背徳性を上げてとても良いです。

 

兎に角、タイトルに女優名を持ってくるだけに事はある作品で、谷ナオミの魅力を引き出せれば成功したようなもん。
以降、日活さんは谷ナオミの他社出演を禁止したそうで、渡辺護も谷ナオミ以外で緊縛物の名作を撮る事に力を注いだってんですから貴重な作品ですね。
その後、多くのポスト谷ナオミが登場し、それぞれ違った魅力を讃えておりますが、やはり王道はこの方。
裸で立つ肉付きといい、揺るがぬ女王の姿を堪能できます。

一女中の役で、「おや、日野繭子が出ている」と思ったら、クレジットは別名・葉山英子。彼女のピンク映画デビュー作らしいです。貴重、貴重。

細身でシブくて大好きな下元史郎さんが回想シーンの若い頃と現在の初老を演じ分けておりますが、この初老の皺メイクが酷くて(皺をペンで描いてる)笑ってしまうのです。ギャグ映画やコントじゃないんですからこれは大失敗。本作の作風にまったく馴染まないメイクでした。

文芸とエロは良く合うのですがそこにコントを挟んできては行けません。

能の謡、邦楽を利用した音楽も良く雰囲気を出していました。音楽は「とべないアヒル」とクレジット。気になります。





併映 「渡辺護が語る自作解説 緊縛ものを撮る(一)」

「また、おまけに爺ぃのインタビューか!」と眠ろうとしたが今回はちゃんと見たし、興味深い内容。小森白の拷問映画とかまだ残ってるのなら見てみたいが。
インタビューだけでなく「少女を縛る!」(1978)のシーンが多く使われているのも良かった。「少女を縛る!」は上映可能なプリントが見つからず今回特集の上映は断念されたようです。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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