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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年)」

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「ルキーノ・ヴィスコンティ-イタリア・ネオレアリズモの軌跡―」

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」1942年 伊 監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
Ossessione

イタリア、ポー河沿いのレストランを夫と営むジョヴァンナは、ある日店に現れた男ジーノに魅せられる。まもなく関係を結んでしまったふたりは、やがて夫を殺すべく計画を実行に移すが…。
イタリア映画界を代表する巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の記念すべきデビュー作。原作はアメリカのジェームズ・M・ケインの同名犯罪小説だが、舞台を当時ファシズム体制下にあったイタリアに置き換え、陰影の濃いモノクロ画面を活かしながら、男女の愛欲をサスペンスフルに描き、ひいては反ファシズムをも謳い上げているという、イタリア映画ネオ・リアリズモの先駆的傑作。



4度映画化されたうち3つは観賞が可能という事で、これが3つ目の観賞。
見始めた時はジョヴァンナのクララ・カラマイが美人ではあるものの夫との生活に縛られ嫌気が差している人妻の色気という面で物足りなく、魅力的に思えず、なかなか乗れなかった。逆にジーノのマシモ・ジロッティが美男すぎるというのも印象が悪いもんで。
原作を読みたいと言いながらも当然の如く読書から遠ざかってしまっており、未だ読まずの観賞。
ジョヴァンナがジーノと関係を持つ瞬間や夫殺しを実行する瞬間はバッサリと省略法で場面転換。
前々から想像しているのだが、やはりこの物語は夫殺しの後が見せ場なのではないか。少なくともヴィスコンティの本作はそうだ。原題の意味は「妄執」って事でもあるからね。



ジーノがアイスクリームでバレエ・ダンサーをナンパするあたりから俄然面白くなってくる。
三角関係から、誤解・・・二人の愛慾が濃密に描かれるメロドラマ。
保険金目当ての殺人なんてそんな殺伐としたものでなく純粋な愛からの殺人?

生き方、価値観の相違からなかなか上手く行かない2人。
ジョヴァンナはジーノへの思いが本物である事を知りジーノに殺されてもよいと思う。
沼地を一晩中探した後の二人。この辺りではいつの間にか不思議とクララ・カラマイが魅力的になっている。



結末は予想の付く「団地妻」あたりにも引き継がれているよくある落ちだが、恐るべきは死体となったクララ・カラマイが尚一層魅力的に見えてしまう事。首に傷を負った死体演技が一番美しいなんて・・・。
いや、レストランに楽団を呼んで働き詰めに稼いだ晩の食事風景なんかも強烈な印象を残しますけど。



途中ジーノを誘う「スペイン」と呼ばれる大道芸人のBLな雰囲気はヴィスコンティらしい味付けなのかな。
終盤、何故か近所の女の子を登場させるが、何の効果を狙ったものか。井戸で洗濯をしている風景が魅力的なので、それだけで価値あるかもですけど。

ルキーノ・ヴィスコンティ監督、苦手意識からあまり観てないんですけど、チャレンジしても良いかな。
それでもやっぱり、エロいジェシカ・ラング版が一番好きなんですけどね・・・。



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