「素敵なダイナマイトスキャンダル」

「素敵なダイナマイトスキャンダル」2017年　監督：冨永昌敬

幼少期に「実母が隣家の息子とダイナマイト心中」という驚愕の体験をした少年「末井 昭」。高校を卒業と同時に工場に就職したあと、上京してグラフィックデザイナー目指す。ひょんなことからエロ雑誌業界の世界に入り込んでしまい、やがて写真家・荒木経惟とのコンビで80年代を席巻した伝説のエロ雑誌「ウィークエンド・スーパー」「写真時代」などの名編集長となってゆく、そして――。



末井昭、冨永昌敬、小田朋美をゲストに迎えた「菊地成孔の粋な夜電波」での映画音楽製作話が興味深く面白かったので早速映画の方も鑑賞。
菊地成孔の映画音楽目当てでの鑑賞はガンダムに続いてだから、なんか凄い菊地成孔サウンドのファンみただけど、そこは一応否定しておこう。

夜電波きっかけですので感想の前にまず判定。
「長い！」に一票でございます。

でも決して退屈な作品てわけじゃない。
末井氏という昭和サブカルを牽引した人物の青春記って所、看板屋からキャバレーを経てエログロ雑誌編集長までの半生自体が面白い。
一連のエロ雑誌の発売時期に十代二十代を生きたのに直接すれ違えなかったのは不覚。

壮絶な死に方をした母親を持つ事が与えた影響なんてものはあんまりなくて、利用すれば良いのですね。そして映画もそのEPを利用したために台詞少ない尾野真千子の絶妙な佇まいに出会えるわけであります。



ラジオで聴いたオープニングテーマが武満徹ばりの現代音楽風で5、60年代の古き良き市川崑あたりの物を連想してしまう。
実際にオープニングは水玉のアニメを使っていてますますその感が深まるのだが、そこに70，80年代のエロ雑誌の切り抜きがコラージュされ、なんか妙な時代感覚になっていて面白い。

また番組でエンディングテーマ「山の音」を聴いていたので、もうパチンコ屋のオバサンが出るあたりから早くエンディングにならないかと思ってしまいました。
歌手としては素人の尾野真千子と末井昭。デジタルに手を加える前の涙ものの生歌テープがあるらしいので聴いてみたい。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』主題歌「山の音」MV動画


皆さんの眼鏡グラスが汚れてるんのがとても良い。
でもお若いの、昭和の眼鏡が皆あんなに汚れてたわけじゃありませんので、念のため。

菊地成孔の演じるアラーキーは背中の肉具合に注目してあげて下さい。




デザイナー仲間の近松さん（峯田和伸）喫茶店でアート語るの可笑しい。


今回も前田敦子さん（妻役）はかなり良いです。


梅毒になってしまう愛人、笛子の三浦透子さんも良い役者さん。



映画もまずまず面白いけれど、それ以上に粋な夜電波の映画音楽メイキング話は面白いですぜ。今週の土曜日までタイムフリーで聴く事ができます。
菊地成孔の粋な夜電波 | TBSラジオ | 2018/03/24/土 28:00-29:00 http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180325040000





地下シアターへの階段手摺りに何本もダイナマイトが括りつけてあった池袋シネマロサ