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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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平野啓一郎 「滴り落ちる時計たちの波紋」

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映画記事が溜まってしまって追いつかなくなってきていますが、それ以上に溜まっているのがBOOK。
2011年に読んだ物を簡単に記載していきます。
ほとんど憶えていないものもあるかな。

滴り落ちる時計たちの波紋 (文春文庫)平野 啓一郎文藝春秋発売日:2007-06ブクログでレビューを見る»

「顔のない裸体たち」「決壊」がそこそこだったので、短編集を読んでみる。
この方のインテリジェンスの部分は自分にはほとんど理解できないながらも愉快な部分があると思ったのだが、あまりに技巧に溺れてしまうと面白くも何ともなく、むしろ「ほとんど理解できない」という側面によって苛立ちを覚えてしまうので、とっても厳しい。

白昼

初七日

珍事

閉じ込められた少年

瀕死の午後と波打つ磯の幼い兄弟

les petites Passions

くしゃみ

最後の変身

『バベルのコンピューター』

我慢しながら読んでいるうち、ついに「瀕死の午後と波打つ磯の幼い兄弟」のところで言いようのない憤懣が湧きおこり、余程、中断してしまおうかと思った。
それでも短編なので気を取り直して読み進み、やっと「最後の変身」あたりで冷静さを取り戻し、読む事ができた。カフカの変身をモチーフにしていながら、内容的にはドストエフスキーの「地下生活者手記」に近い?
横組み活字という実験性はとまどうものの、次第に慣れる。いや、慣れないか。何度かページを逆流しそうになる。
ひきこもりの独白が妙にリアルで面白かったように思うが、全て忘却の彼方・・・
古今東西の名作を下敷きにした、極めて個人的なお遊びに付き合えるかどうかといった所なんでしょう。

「バベルのコンピューター」はボルヘスの「バベルの図書館」をコンピューターに変えて論じる発想の面白さだけでなく、難解なインテリジェンスを楽しむ、何だか解らない面白さがあったと思える。
知能や偏差値の低い人間が忘却しているので理屈は無理。ただ、読んだだけって事で・・・
 
その他の作品はつまらなかった事しか覚えていないし、再読する気も無い。ごめんよ。

古い作品ばかり馴染んで、新しくて面白い作家に巡り会えない中、期待を持っていたのに、多分、もうこの方の本を読む事は無いでしょう。それは、幻滅しただけでなく、2011年、最高に面白い現代の小説家さんに出会ってしまったから・・・・

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