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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「黒魔術」

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「映画史上の名作6」

「黒魔術」1949年 米 監督:グレゴリー・ラトフ

ジプシーの少年ジョセフ・バルサモは後にカリオストロ侯爵を名乗り、メスマーから学んだ催眠術を利用してヨーロッパ稀代の詐欺師となる。カリオストロは、ロレンツァという少女がマリー・アントワネットに瓜二つなのを利用して、フランス王室を騙して権力を握ろうと企てるが・・・。オーソン・ウェルズがノンクレジットで共同監督を務め、自ら主役を演じた、カリオストロの栄枯盛衰の物語。日本未公開。

ほらほら、こんな面白い映画がまだまだ日本未公開で沢山転がっているんだから、新作ハリウッド映画などに手が回らなくなるってもんよ。ヴェーラさんのこの企画は大変よろしい。

物語の面白さは原作がA・デュマという事で納得。映画の中でもデュマが出てきて回想する形。

ジョセフ・バルサモは少年時代、母が魔女の嫌疑で目の前で処刑される。自らも目玉を抉られるところをジプシー仲間に救出される。後に復讐鬼と化すわけだが、この復讐が勧善懲悪でなく、偉大なる詐欺師カリオストロというピカレスク物になっていく。
カリオストロの物語ってこういう物でありましたか。知らんかった。原作も読みたい。
心療医メスマーによって催眠術の能力を見出され、バルサモがその目力によって人々の意思を思いのまま操る。
オーソン・ウェルズの眼の演技無くしては語れない作品です。
魔術といえばオーソン・ウェルズって事でしょうか。

ペテンは次第に大きくなりマリー・アントワネットを計略に掛け、フランス王宮を手中にしようとする。いつのまにかペテンは神の領域に入っていってしまい、全能の本人も錯覚していくあたりの描写、物語がとても面白く引き付けられます。
カリオストロの暴走は心配するジプシー仲間、思いを寄せる娘にも、最早止める事はできません。
彼を止めたのは催眠術の能力を見出した、心療医メスマーでありました。
裁判の場面。証人の証言も思いのままに操るカリオストロに対抗したのはやっぱり催眠術。
法廷の場で催眠術合戦になる荒唐無稽さ、逆にカリオストロがあっさり操られてしまう呆気なき展開には思わず笑っちゃいました。
筒井康隆の「超能力」という短編を思い出しましたね。

このような面白い未公開作(と言っても知る人ぞ知る有名作らしい)に字幕を付けてどんどん紹介してほしい。
字幕製作には寄付金を募っています。私は寄付しませんが裕福なる好映画ファンの方は是非是非、寄付してあげてください。エンドクレジットで名前が乗ります。

シネマヴェーラ渋谷

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