「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in ラピュタ阿佐ヶ谷」
「喪服の女 崩れる」2001年 新東宝 監督:後藤大輔
プリントタイトル「喪服不倫妻 こすれあう局部」
古びた印刷工場を舞台に人妻とその夫、風来坊の印刷工の間で展開する愛憎ドラマ。80年代ロマンポルノでデビューした後藤大輔が満を持して臨んだピンク第一作でフィルムノワール的色彩濃厚な作品。物語・演技・セット・撮影・音楽すべてが尋常ではないボルテージの高さを競い合う。
鑑賞迷ってた後藤大輔ピンク第一作が、これほどまでに傑作とは。観に来て正解。
翌日の監督、佐々木麻由子、木村圭作の登壇するトークショー付きで鑑賞すれば良かったと思うほどである。
骨拾いのアングル、青空、蝉。
事故で脊髄をやられ下半身不随となった夫。
姑の遺骨を使い、遺灰にまみれて自慰する妻の心境って?ここは撮りたかっただけか。亭主が亭主だけに生前の嫁姑の関係が気になってしまう。
忌中札貼られた古い木造の零細印刷工場。狭い階段。階上に住む夫婦。時代がかった箪笥、畳。
そこに訪れる若い印刷工、木村圭作。
これはどうしたってなるようにしかならない。
しかし、その発端のシーンが秀逸。
仕事の会話中、好色な目で見つめていた木村圭作が距離を詰めていく
「・・・なに?」
「やめて」
ここからのレイプシーンは悲鳴などの人声を消して単調な印刷機の音だけになる。
人声が戻るのは、やがて男に屈し、よろこびの喘ぎを漏らす瞬間。稼働し続ける単調な印刷機の音と艶めかしい喘ぎ。階上でクラシック音楽を楽しむ寝たきりの亭主とのカットバック。
亭主のかかりつけの女医(山咲小春)とはレズの関係。寂しさを紛らわす行為か。
畳上直に繰り広げられる過激なレズプレイ。去ったと思った印刷工が戻ってきた時、女医の方の本気度が見える。
氷プレイと初めてのアナル。初めての事沢山してやる。
「わたし、やり直したい。もう一度生きてみたい。どこか連れていって… どこか遠くへ…」佐々木麻由子の切迫した演技に泣きそう。
男に溺れていく人妻は当然のように情婦に夫を殺して欲しいと願うようになる。
昼夜明かせずの情事。昼食はてんやもんで済ませる。少し開いた印刷工場の扉から漏れる声にさりげなく丼を回収に来る蕎麦屋。
雨の西武園競輪。博打に夢中になる風来坊、木村圭作の顔が良い。すってしまうどころか儲けてるのは意外。印刷屋だけにすって欲しかった。
張り詰めたノワールテイストの中、不遇亭主のキャラがややいら立つ。女医に死の恐怖を語る件には辟易。木村圭作の背の上でわざと失禁してみせる嫉妬の陰湿さ。計算された嫌らしさではあろう。
ミステリー感を醸成する大場一魅の音楽も良い。
小便に濡れた階段から落下。大怪我を負った情夫。この拍子に不能が癒えたのか亭主が妻に襲い掛かるところを撲殺。その後失神する情夫。
姑の初七日も終わらぬうちに2つ目の葬儀は情夫が殺した亭主の葬儀。
家に戻り長い階段を上っていくと・・・
ここで今度は情夫の木村圭作が不能寝たきりになっている事を想像してしまうのは歪んでますか?
時折、見るものが二重になるが情夫は無事、早速情事にふける二人。新しい事で楽しもうと階下へ向かう情夫。ベッド上で気怠く待つ女。男が足を踏み外して階段落ちる音、女の悲鳴で物語は終わる。やはり木村圭作は不能の寝たきりになったんだ、きっと・・・。
最初のレイプシーンなどは「郵便配達は二度ベルをならす」のジェシカ・ラングにも匹敵するシーンだし
汗の印刷工場女房で連想するのは「鬼畜」の岩下志麻。むこうは気が強くて怖さが優っているキャラだが、こっちはピンク映画だ。佐々木麻由子の存在は圧巻で、可愛くも、エロくも、カッコ良くも、哀しくも空しくもある。
真相を知る女医がこの後どうするのか。それはあまり重要でない。
思わせぶりのほったらかし部分もあるけれど、映画としての力が漲っているので、そこはあまり気にしないようにする。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「喪服の女 崩れる」2001年 新東宝 監督:後藤大輔
プリントタイトル「喪服不倫妻 こすれあう局部」
古びた印刷工場を舞台に人妻とその夫、風来坊の印刷工の間で展開する愛憎ドラマ。80年代ロマンポルノでデビューした後藤大輔が満を持して臨んだピンク第一作でフィルムノワール的色彩濃厚な作品。物語・演技・セット・撮影・音楽すべてが尋常ではないボルテージの高さを競い合う。
鑑賞迷ってた後藤大輔ピンク第一作が、これほどまでに傑作とは。観に来て正解。
翌日の監督、佐々木麻由子、木村圭作の登壇するトークショー付きで鑑賞すれば良かったと思うほどである。
骨拾いのアングル、青空、蝉。
事故で脊髄をやられ下半身不随となった夫。
姑の遺骨を使い、遺灰にまみれて自慰する妻の心境って?ここは撮りたかっただけか。亭主が亭主だけに生前の嫁姑の関係が気になってしまう。
忌中札貼られた古い木造の零細印刷工場。狭い階段。階上に住む夫婦。時代がかった箪笥、畳。
そこに訪れる若い印刷工、木村圭作。
これはどうしたってなるようにしかならない。
しかし、その発端のシーンが秀逸。
仕事の会話中、好色な目で見つめていた木村圭作が距離を詰めていく
「・・・なに?」
「やめて」
ここからのレイプシーンは悲鳴などの人声を消して単調な印刷機の音だけになる。
人声が戻るのは、やがて男に屈し、よろこびの喘ぎを漏らす瞬間。稼働し続ける単調な印刷機の音と艶めかしい喘ぎ。階上でクラシック音楽を楽しむ寝たきりの亭主とのカットバック。
亭主のかかりつけの女医(山咲小春)とはレズの関係。寂しさを紛らわす行為か。
畳上直に繰り広げられる過激なレズプレイ。去ったと思った印刷工が戻ってきた時、女医の方の本気度が見える。
氷プレイと初めてのアナル。初めての事沢山してやる。
「わたし、やり直したい。もう一度生きてみたい。どこか連れていって… どこか遠くへ…」佐々木麻由子の切迫した演技に泣きそう。
男に溺れていく人妻は当然のように情婦に夫を殺して欲しいと願うようになる。
昼夜明かせずの情事。昼食はてんやもんで済ませる。少し開いた印刷工場の扉から漏れる声にさりげなく丼を回収に来る蕎麦屋。
雨の西武園競輪。博打に夢中になる風来坊、木村圭作の顔が良い。すってしまうどころか儲けてるのは意外。印刷屋だけにすって欲しかった。
張り詰めたノワールテイストの中、不遇亭主のキャラがややいら立つ。女医に死の恐怖を語る件には辟易。木村圭作の背の上でわざと失禁してみせる嫉妬の陰湿さ。計算された嫌らしさではあろう。
ミステリー感を醸成する大場一魅の音楽も良い。
小便に濡れた階段から落下。大怪我を負った情夫。この拍子に不能が癒えたのか亭主が妻に襲い掛かるところを撲殺。その後失神する情夫。
姑の初七日も終わらぬうちに2つ目の葬儀は情夫が殺した亭主の葬儀。
家に戻り長い階段を上っていくと・・・
ここで今度は情夫の木村圭作が不能寝たきりになっている事を想像してしまうのは歪んでますか?
時折、見るものが二重になるが情夫は無事、早速情事にふける二人。新しい事で楽しもうと階下へ向かう情夫。ベッド上で気怠く待つ女。男が足を踏み外して階段落ちる音、女の悲鳴で物語は終わる。やはり木村圭作は不能の寝たきりになったんだ、きっと・・・。
最初のレイプシーンなどは「郵便配達は二度ベルをならす」のジェシカ・ラングにも匹敵するシーンだし
汗の印刷工場女房で連想するのは「鬼畜」の岩下志麻。むこうは気が強くて怖さが優っているキャラだが、こっちはピンク映画だ。佐々木麻由子の存在は圧巻で、可愛くも、エロくも、カッコ良くも、哀しくも空しくもある。
真相を知る女医がこの後どうするのか。それはあまり重要でない。
思わせぶりのほったらかし部分もあるけれど、映画としての力が漲っているので、そこはあまり気にしないようにする。
ラピュタ阿佐ヶ谷