「スイス・アーミー・マン」

「スイス・アーミー・マン」2016年　米　監督：ダニエル・シャイナート ダニエル・クワン
SWISS ARMY MAN

無人島で遭難してしまったハンクは生きる気力を失い、悲嘆のあまり自殺しようとする。ちょうどそのとき、海岸に流れ着いた男性の死体が目に飛び込んでくる。その死体からはガスが出ており、浮力があった。ハンクが飛び乗ると、死体は水上バイクのように動き始め……。



やられた！
気になっていた映画。劇場で観るまで我慢した甲斐があった。というかよくぞ劇場再映！
オールタイムベストに入りうる作品。

人は誰でもいつか死を迎える。
どんな死に方をするのかはその時になるまで解らない。病院で死ぬのか、家族に看取られるのか。ハンクのように意識のある中、孤独に死んで行くかもしれない。
生きてる間にも孤独という恐怖を避け、強がったり媚びを売ったりもがいたりする事もあるだろう。
人々の営みは全て孤独の回避のために行われていると思われる事さえある。



荒唐無稽でファンタジック「何これ？」って内容なのに何故か上記のような不安を取り除いてくれるような力を感じるだなんて。意味不の涙到来。

もし死ぬ間際、自らの人生が走馬灯のように回り出さなかった時は、せめて本作を思い出して死んで行ければ良いと思うくらい。



よって、ハンク等が故郷である文明に戻ってからがほんのちょっと好みと違うけれど、満点進呈。

なおネタばれ申し上げると、本作では誰も死にません。ハンクは勿論、死体のメニーさえも。


ポール・ダノ


ダニエル・ラドクリフ





渋谷シネクイント
2020年9月