「血を吸うカメラ」PEEPING TOM1960年 英 監督:マイケル・パウエル
内気な映画カメラマンのマーク。裏稼業はエロ写真撮影販売だが、さらに裏の顔があった。ある常軌を逸した方法で女性を惨殺しては、恐怖し苦悶に歪む死に顔を映像に収めコレクションし自宅上映しているのだ。彼はある日、彼が父親から相続した自宅兼アパートの賃借人ヘレンから声をかけられ親しくなる。奥手だが好青年として彼女と交際を深める裏で、より迫真のスナッフ・フィルムを撮りたいという創作欲求は抑え難く嵩じていき…。
田中文雄や佐々木浩久の一連タイトルの元となる古典スリラーなのね。
古い作品としての良さは当時の映写機やカメラのフェチ感。
冒頭、夜の街ショーウインドの前に立つ毛皮の娼婦。書き割りのような絵世界が美しい。
父親の研究材料とされたトラウマから異常性癖を持つようになってしまったカメラ成年。美形も陰キャ。
好奇心が危うい恋する娘。その母親が盲目アル中で直感力鋭く一発でお見通しになるのサイコキラーより怖い。
冒頭娼婦や顔に傷あるヌードモデル、失神演技何テイクもやらされる女優や青年のカメラの前で華麗なダンスを見せる女優と脇役女優陣も古くささ故の良さがある。
日本の血を吸う作品の方が好きだが。。
池袋 新文芸坐
2021年4月