「没後20年 作家主義 相米慎二〜アジアが見た、その映像世界」
「台風クラブ」1985年 ATG 監督:相米慎二
東京近郊の地方都市。私立中学校のプールに夜、5人の生徒たちが泳ぎにやってくる。彼女たちは先に来ていた男子生徒に気づき、イタズラをするが度が過ぎて溺死寸前の状態に追い込んでしまう。翌朝、ニュースでは台風の接近を告げていた。以来、生徒たちの間で徐々に何かが狂い始めていくようだった……。
台風で学校に足止めくらった中学生男女が一夜を過ごすなんてシチュエーションだけで傑作の予感しかしないやつなので、ずぅーと観たいのをDVD鑑賞控え、晴れて劇場初鑑賞。
少しハードル上がりすぎた気もするけどやはり傑作だった。
中坊のわけのわからん狂気にこそばゆさを覚えるくらい巧みな表現。
主演の工藤夕貴のキャラや立ち位置が思ってたんのと違ったけどそれは良い方向への乖離。台風の夜、友達とは違う場所で過ごすのね。何れにしても細っこい彼女がパンツ一丁で部屋をうろつくのは見処。履きかけたスカートが落ちる。
家出した東京で出会う大学生の尾美くん、急に帰ると言われて焦って一発平手打ち放つの良い。隠されても確実に存在する下心感。
相米監督と言えば長回し。今回もふんだん。暗すぎる画面も魅力的な構図頻出。
ギャグ要素と解釈した「シャイニング」「犬神家の一族」は洒落にならぬし、三浦友和先生や保健の先生きたむらあきこもどうかと思う。演者三浦友和はとても良い。
やはり本作、自身が中学生じゃなくてもまだ若いうちにちゃんと観て、自分の子が中学を経た後に再鑑賞するのが王道で、前者が無いのが悔やまれる。
この頃バービー・ボーイズは聴いてなかったけど良い。