「小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!」
「東京の暴れん坊」1960年 日活 監督:斎藤武市 35mm
ミュージカル調のオープニングで胸が高鳴る。キッチンジロウの倅・小林旭(パリ帰り)と銭湯の娘・浅丘ルリ子の早口の言い合いよろしく、79分の尺なのに事件満載。レスリングにフェンシング、キッチンジロウに車が突っ込み「表へ出ろ」、から海とキャンプ、結婚式!セットも衣装も豪華で逆回しの絵もカッコいい。助監督は神代辰巳。
手書き書割りをバックにミュージカルでのオープニングが可愛い。
清水次郎(小林旭)はパリー(伸ばすとこがミソ)帰りのシェフでイケメンスボーツマン(レスリング)
最初は敵対する元総理の一本槍鬼佐衛門やグレン隊リーダーの千ちゃんも惚れ込んでしまう男気。
当時のファッションで立つ細身の小林旭。後ろ姿も超カッコいい。ひと度台詞になると甲高い声。それ故にコメディー方面に傾倒しやすいのも魅力だ。
え、浅丘ルリ子だって?
そりゃあお嬢様ファッションもフェンシング姿も素敵だが、本作では最初から次郎先輩にほの字のルリ子より絶妙な距離感のシンパ、バーマダムの中原早苗がメチャ良いのよ。三枚起請な展開が笑。
男気の次郎たちは金持ちボンボン中村に騙されたトシちゃんにボンボンと逆転結婚させるため画策。普通なら余計なお世話で決して二番目で満足してるトシちゃんが幸せになるとは思えないんだが、作品全体に漂う能天気さが見事にハッピーエンドを予感させててスゴ。
シネマヴェーラ渋谷 2021年5月