「奇想天外映画祭2021」
「銀河」1968年 仏・伊 監督:ルイス・ブニュエル La Voie Lactee スペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステラを目指す巡礼者ピエールとジャンの前に現れる、死の天使、狂った司祭サド侯爵などの奇々怪々ま人々。鬼才ブニュエルが神なき世界を風刺した渾身の奇怪作。 こちらがコロナ発症後、初の劇場鑑賞。実に62日ぶり。これが本当の社会復帰。2回目感染は御免なので、宣言中だし、もう少しおとなしくしてようと思ったがもう限界。 ルイス・ブニュエル監督作が劇場でかかる時は極力観ておこうと思っている。それが当たりだろうが外れだろうが。 本作、存在は知っていたが事前情報なにも入れずに鑑賞。 前半部、台詞の多い展開に何度か寝落ちしてしまった。完全覚醒したのはやっと決闘シーンや森でのマリヤ出現のあたり。従って登場人物の関係性とか掴みにくいというかなり不利な状況。 無神論者というブニュエルが痛烈にキリスト教、カトリックを風刺した作品で、エピソードは全て古今の書物からの引用だという。時空を越えたまさに奇想天外な展開を後半部だけでも楽しめた。 「脳の信号も頭蓋骨から出ないしね」なんて原語ではどう言ってるのか。字幕の訳が効いてる。 特にラストのキリストが盲人に奇跡を起こすラストシーン。溝を軽々と越えていく神のあとに二人の盲人の杖が溝を確認してるの。 「私がこの地に来たのは平和をもたらすためではない、分断だ」 娼婦マリア役で今回の映画祭の目玉「赤い唇」のデルフィーヌ・セイリグが出演。 もう少し聖書やキリスト教について勉強しておいた方がより楽しめるだろうが、今さら勉強するつもるりは無いのでこれで良しとしておこう。 この手のブラック・ユーモアは痛烈であればあるほど痛快感を味わえるものだが、皮肉る相手がキリスト教では。親戚に執拗に入信を迫るおばちゃんとかがいないと本来の痛快感は味わえないんだろうな・・・ とか考えてたら自分はカトリック系の幼稚園に通ってた事を思い出した。宗教的理由ではなく、母が近所の幼稚園で一番制服が可愛いという理由で選んだそうだ。まがりなりにも幼少の砌には聖母マリア様のお話を聞きながら昼寝していたんだけどねぇ。 新宿K’sシネマ 2021年9月↧