「殺したのは誰だ」

「役を生きる　女優・渡辺美佐子」

「殺したのは誰だ」1957年　日活　監督：中平康

貧乏ゆえ交通事故の保険金詐欺に加担した菅井一郎だが、小心者でうまくいかない。キャバレー勤めの娘・渡辺美佐子と息子の小林旭も荒れ･･･。札束で詐欺に加担させる西村晃と、その犠牲になる殿山泰司の凄味を観よ！中平のキレキレの演出と姫田のカメラ、伊福部の音楽が最高な日活ノワール。



後味悪っ！中平康ってこんなテンポだったっけ？
女房を亡くしてから全てが上手く行かなくなったダメオヤジ菅井一郎が泥酔してゴロツキのように娘の勤めるキャバレーで暴れる。そりゃ渡辺美佐子も怒ろう。
家族を顧みず落ちぶれた人生をグチる親父に優しい息子・小林旭「金なら俺が稼いでやる」男同士だから解りあえる良い息子かと思いきや姉の金を勝手におろして撞球場。ダメじゃん。
満洲の旧友と出会い起死回生に悪い予感しかなかったがそれは何でもなくて事態はもっともっと最悪に。



車の磨き屋なんて商売があったのか。菅井が保険金目当てで車をぶつける命がけの仕事を引き受けるが3度躊躇。フランクと名乗る殿山泰司が酔った挙げ句、分前の5万欲しさに一発昇天。殿山泰司の奥さんが素敵すぎる・高野由美という女優。

ダメ親父の方にも誠のある恋人が居てハエ・クモ・ネズミさらに西洋乞食の浜村純に囲まれる居酒屋のママ。山根寿子。

仁義なきセールスマン西村晃が安定の悪党ぶり。保険金目当ての仕事。命かけるほうは10万でもちかける手前は20万という世の常識。また同じ現場でやるのヤバすぎ。

自室に男を連れこむ渡辺美佐子の巧みな交わし芸、殺虫剤。

撞球場の点数読み上げ女。

小林旭をカモるストレートの健がカッコいい。

キスだけだったのは筑波久子？





シネマヴェーラ渋谷
2022年2月