「怪物」2023年 東宝、ギャガ 監督:是枝裕和 脚本:坂元裕二
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きる。それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。そしてある嵐の朝、子どもたちがこつ然と姿を消してしまう。
なるほど脚本賞。
ある一つの事実を立場の違う視点で見せるというと羅生門を想起させるけど、それとはちょっと趣きが違った形でグイグイ引き付けられた。登場人物に思い描くキャラクターのイメージがどんどん変わって行くのも見どころで、いくらなんでもそんなに印象が変わるもんかね?とも思ったが。。
ある一つの社会問題をテーマにするのではなく、複数の問題を散りばめている作りもお見事だし、映像的にも湖のある町の夜景とか、不謹慎だが火事とかが美しくて良い。
2時間超の作品に美しいラストも用意されているが映画が終わってしまうのが惜しいと感じた。
誰もが怪物のようであり、怪物など存在しないようでもある。
役者陣も良くて子役の二人と母の強さを演じた安藤サクラなどは役者としてある意味怪物。
TOHOシネマズ日比谷
2023年6月
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「怪物」
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