「市子」2023年 ハピネス・ファントム・スタジオ 監督:戸田彬弘
川辺市子は3年間一緒に暮らしてきた恋人・長谷川義則からプロポーズを受けるが、その翌日にこつ然と姿を消してしまう。途方に暮れる長谷川の前に、市子を捜しているという刑事・後藤が現れ、彼女について信じがたい話を告げる。市子の行方を追う長谷川は、昔の友人や幼なじみ、高校時代の同級生など彼女と関わりのあった人々から話を聞くうちに、かつて市子が違う名前を名乗っていたことを知る。やがて長谷川は部屋の中で1枚の写真を発見し、その裏に書かれていた住所を訪れるが……。
ミステリー仕立てで引き込まれるが、明らかになってくる市子の壮絶なる半生の割に語り口が極めて穏やかなのがポイントか?
片山慎三「さがす」を思い起こすが、あちらは重いテーマを見事にエンタメに昇華させていたけどこちらはまるで単館系小品のように描いてる感じか。
ミステリアスな進行ながら物語の外にこそ魅力を感じてしまう。
演者にやたら近寄るカメラの演出とかも印象的。
作品の雰囲気を生み出すのに、3年も付き合い何も知らなかった若葉竜也の佇まいも一役買っている。
杉咲花が良いのだな。
真夏、ショート、黒いワンピース、汗、蝉の声、鼻歌。関西弁、ロケット花火。
姉妹の視線は交差するようで徹底的に空虚で凄すぎた。長回し。ありがとう。
過去を語りたくない、語れない生き方をしている彼女が数少なく思い出を語る場面がまた良い。
市子のためなら死ねる少年。
「街の上で」からは若葉竜也の他に城定さんの中田青渚。市子とは対照的な友人を明るく演じる。
それぞれ子役からの受け渡しも良いのだが、取り分け良かったのがこのおばちゃん。
Boy Meets ICHIKO
杉咲花は4年前のラジオの印象が良かったけど俳優として凄いお方なんですね。今でもカネコアヤノ好きなんかな。「市子 」のエンドロールで脳内りぼんのてほどき再生。
俳優としての杉咲花は宮沢りえの娘役のやつくらいしか見てないと思うけどおそらくベストなんでは?
原作は監督自ら主宰している劇団チーズtheaterの舞台「川辺市子のために」気になる。
TOHOシネマズシャンテ
2023年12月
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「市子」
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