「火だるま槐多よ」2023年 渋谷プロダクション 監督:佐藤寿保 脚本:夢野史郎
村山槐多の絵画「尿する裸僧」に魅入られた法月薊が「村山槐多を知っていますか?」と街頭インタビューをしていると、「私がカイタだ」と答える男・槌宮朔に出会う。特殊な音域を聞き取る能力を持つ朔は、過去から槐多が語りかけてくる声を何度も聞くうちに神経を侵食され、自らを槐多と思い込むようになっていた。朔が加工する音は同じく特殊な能力を持つ者にしか聞き取れないが、それぞれ予知能力、透視能力、念写能力、念動力を持つ若者4人のパフォーマンス集団がそれに感応する。
寿保監督作は時に睡魔との戦いになるが、本作もかなり戦いを強いられたがなんとか落ちずに見終えた。
村山槐多は、知らなかったけどガランス、インパクトある。上田市の残照館も訪ねてみたい。絵画だけでなく詩や文学でも才能を発揮していて本作のモチーフにも使われているが江戸川乱歩を彷彿させる。
村山槐多に魅せられた女が槐多について街頭インタビュー。村山槐多を名乗る男が現れ、超能力者集団、少年男女4名の毒刃社が加わる。そして彼らを双眼鏡で監視続ける何者か。相当寿保ってるな。
主演の佐藤里穂はゆで卵のようにつるっとしたなかなかの美人さんだが役のキャラとして高飛車で佐野史郎にもため口で終始強気。なので超能力を持たない彼女が一番の超能力者のように見える。オーディションで集められた毒刃社の若者はリーダー以外はややキャラが弱い。超能力も抑制されてるからね。でも男女3人皆可愛いよ。
佐野史郎が急に佐藤里穂の母親に言及する伏線が良かった。
エロティックなシーンもちゃんとある。裸で抱き合う二人にガランスな血が降り注ぐのはキャッチーで良かった。キャリーを思い出す。
毒刃社がSNSで募ってパフォーマンスに使う各国の面を集める。面を付けてのアングラで面が取れなくなるってありがちな展開は鬼婆かな。
終盤にかけての音とカメラが秀逸で地下を疾走するカメラが新宿の青空の下に出るのカッコ良かった。
続くエンドロールでは槐多の絵画集。地震で劇場が揺れ、4D鑑賞みたいだと喜んでたが映画館を出てネット開けたら北陸が大変な事に。年明け1本目が火だるまで大丈夫か?と思った不安が現実になってしまった。
アヴァンギャルドは理解よりも感性で良いのだと再認。
新宿K’sシネマ
2024年1月1日
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「火だるま槐多よ」
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