Quantcast
Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4203

「哀れなるものたち」

$
0
0
「哀れなるものたち」2023年 英 監督:ヨルゴス・ランティモス 原作:アラスター・グレイ 脚本:トニー・マクマナラ
Poor Things

不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

飛び降り自殺した妊婦が天才外科医に蘇生される。損傷した脳は胎児の物が移植された。人造人間ベラの成長物語が圧倒的にお洒落でお伽話のような世界感の中で描かれる。成熟した肉体に幼児の脳、成長の過程でセックスへの関心は避けられない。リメイクとまで言わないがこの着想でOP映画1本作って欲しい。



映画の内容の面白さもさることながら、この役を掴んだ(幸運か実力か、おそらく両方)エマ・ストーンの今後女優として行く先が気になるほど演技が素晴らしい。特にイノセント。

メアリー・シェリーの人生に重ね合わされているそうだ。また、後半の娼婦になる部分は「ファニーヒル」という小説から来ているらしい。エル・ファニングで「フランケンシュタイン」読了再挑戦を思うも未だ読んでないのに今度はエマ・ストーンで「ファニーヒル」読みたくなった。けれど怪物達のように読書家勉強家じゃないからどうかな。



ギャグの中で与太郎のろくろ首みたいになるとこあってバカウケ。

ハンナ・シグラが可愛いお婆ちゃんになっていて良かった。



衣装、美術、色彩設計、章立てやエンドロール(ロールしないスクェア)のセンス、とても好ましい。
ベラの衣装は提灯袖にミニスカ、髪型はセンター分けロングのストロングスタイル。
ヨーロッパを旅する風景の美術が素晴らしく、現実の時代性を放棄してお伽噺の絵本の中のようなファンタジー感を出している。













本作がフェミニズムの映画なのか否かの論争において、多くの女性の批評家たちが、「こんなものはフェミニズムでも何でも無い」と言ってるのも面白い。
中年男(製作陣)のファンタジーでしかないと言うのだ。大いに結構ではないか。
男性である以上、リアルなフェミニズム作品よりも中年男の理想妄想ファンタジーの方が楽しめる。城定秀夫作品しかりである。
今後、ますます女性の地位が向上し守られていくだろうから映画や妄想の世界くらい男のファンタジーを残しておいておくれ。





TOHOシネマズ日比谷
2024年2月


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4203

Trending Articles