「追想から未来へ 水井真希さんが残したもの」
「愉悦」2013年 DKプロダクション 監督:ダーティ工藤
都内某所で行われる某映画の準主役女優オーディションに集まる7人の女優たち。だがオーディションは中々始まらず、苛立ちからか女優たちの間でも小競り合いが生まれる。そこへ突然、武装した3人の男たちが乱入し女優たちを下着姿にして連縛してしまう。男たちの目的は何か?そして縛られた女優たちの運命や如何に!?
監督、ダーティ工藤のあまりにもマニアックなフェチ。付き合わされているうちにジワジワと面白さが滲みだす珍作。
冒頭女優たちがオーディション会場に向かって歩いているところを1人1人追いかけるカメラ、かなりアップにしていたり。
佐倉萌はなぜ、ただ歩いているだけなのにこんなにもカッコ良いんだろう。ここは監督自身が撮影したとの事。
オーディション会場に集まった女優は、長身スタイルの若林美保、ぽっちゃりエロい衣緒奈、人妻女優の伊沢涼子、ベテラン女優の佐倉萌、佐倉萌と同行してきた同居人の沙夜(ここ少し訳あり関係そう)若くて生意気な水井真希。
あれ?1名足りないぞ・・・とは、実は鑑賞中は不覚にも気付かなかった(迂闊だな)
生意気な水井真希はオーディションに自身満々で年増の佐倉萌を挑発して一触即発。伊沢涼子が仲裁に入ったりする。
「オーディションは別室で行うので皆さんは呼ばれるまでここで暫し待機してください」とスタッフ。
突然乱入してくる3名のテロリスト(待機中に待合室で漫才を披露するルサンチマン2名とダーティ工藤)
テロリストは女優を下着姿にすると1人ずつ縄目にかけていく。ここからダーティ工藤の緊縛シーンたっぷり尺をかけて見せていくというフェチ度。これが見せたいだけなのかも。いったい何を見せられてるんだろう?
緊縛美とか緊縛ショーの魅力というのは最近認識しているつもりだが、これはいかにもショーとしては地味すぎる。と思ってしまうのはまだまだ修行が足りませんか?
さらに1人1人を数珠繋ぎに連縛(これがやりたかったのね)
生意気水井真希はスリムな身体にボクサータイプのパンツ。他はそれぞれに色っぽい下着。なぜ、全裸に剝かないのか?というとそれはゲリラ撮影事情もあるようだ。
前方に座す伊沢涼子を中心に後方5人の連縛が完成する。
縛られてるだけなのに静かに喘ぐ伊沢涼子が何気にエロい。
連縛が完成するとテロリストたちは女優の衣服を持ったまま退散してしまう。テロリストの目的は誰も知る由もない(字幕で説明)
まもなくすると、あらら?水井真希の高手小手に縛られていた縄がなんと抜けてしまう。テロリスト緊縛師の技術はどうなの?
水井真希は手が自由になると他の女優たちの縄をほどいていく、自由になったものから順に互いをほどいていく。ここもじっくり尺を取ってノーカットでお見せする。
不思議とだんだん面白い気持ちとエロい気持ちになってきたな。長回しの魔力か?
再びスタッフが登場して「実はこれがオーディションでした。結果は後程連絡します。お疲れさまでした。部屋を借りてる時間が迫ってるので早くお帰りください」となんとなく想定できるネタばらし。
これに怒った女優陣は縄でスタッフをボコボコにびしばしひっぱたくという。叩いてる皆さんが楽しそうで良い。
各女優陣がインタビューで撮影の感想を述べていく。
演技者から素に戻り各々感想を述べる中、水井真希は生意気な役のまま、「私がこんなデブやおばさんに負けるはずがない。このオーディションは私が掴む」
あとは若林美保も半分物語の中にいて、オーディションの結果を楽しみにしていたりはするのだが。
インタビューの中で印象的なのは衣緒奈で「私は縄が好きで縛られてるだけでボーっとしてしまい・・・」なんて言っててめちゃくちゃエロい。うーむ、そんなこともあるのか?緊縛奥深いなぁ。
さて、最後7人目の女優白玉あもがも抜けの殻のオーディション会場に大遅刻してやってくる。そういえば一番最初にこの人アップから始まっていたな。ここに来て気付くもんだからこの仕掛けは面白かった。
監督、「13人の刺客」をやりたかったとの事。
上映機会のない(そりゃそうだろ)貴重な上映だったけれど、貴重というだけでなく十分楽しめた。
なお、水井真希の追悼特集だが、同時にルサンチマンのよしお(2014没)、福間健二(声のみ出演・2023没)も追悼という事になった。
神保町 ネオ書房@ワンダー店
2024年3月