「文豪と女優とエロスの風景」
中山千夏×大谷直子
「ダブルベッド」1983年 にっかつ 監督:藤田敏八
昔の仲間の葬儀に出た加藤(岸部一徳)とその妻、雅子(大谷直子)は、その帰りに昔なじみの店で山崎(柄本明)とその若い恋人・理子(石田えり)と会う。気遅れして一人で帰った理子をのぞく3人は、雅子のマンションで飲み始める。山崎の愛撫で気持ちが高ぶった雅子は加藤とSEX。行為の声を耳にした山崎は理子のアパートに行くが、妹の由子(高橋ひとみ)しかそこにおらず、そのことは後に2人に諍いを起こさせる原因となってしまう。そのやるせなさから加藤の家に電話を入れる山崎。雅子と飲む約束をとりつけた彼は、アルコールが入った後、ラブホテルへ。2人はその後もしばし関係を持ち始め、やがてそれは加藤の知るところとなり、雅子は山崎の家へ飛び込むのだったが…
102分にわたるこのロマンポルノ大作は未見のため一度見ておこうと足を運んだが、鑑賞中に気づいた。見てるのです、この作品。
ぜんぜん記憶から飛んでいたのです。ところが見ていると荒井晴彦の印象的な台詞の何点かを役者が発する前に、ふと脳裏に蘇るほど憶えているのでした。
「由子ちゃん処女なんだから」山崎が妹(高橋ひとみ)に手を出さないよう釘を刺す理子(石田えり)
「大学の図書館にはあなたが居ないから」ベタな口説き文句でナンパされる理子
「あの晩、加藤とやってただろ、いい声してた」雅子(大谷直子)と関係後ふと言う厭らしさ、山崎(柄本明)
「山崎さんの何か考えてる顔、初めて見た」図書館をさぼって山崎の家にきた理子。「やっぱりあなたが好きよ・・・」
「回しかぁ・・・」図書館ナンパの院生の仲間の厭らしい目つきから、逃げ出すホットパンツの理子。
「俺は、ただ、あの人とやっていたいんだ。やり続けてたいんだ」・・・「人の女房になんて事を!」ウイスキーをぶっかけられる山崎。
「俺も女と別れる」「女、居たんだ・・・」妻と和解を求める加藤(岸部一徳)の藪蛇。
「あ、お金」「払えって事?」御用聞きの若者を食っちゃう雅子。
台詞が記憶の底に沈んでいたのに、大谷直子の大胆演技(すっかり忘れてます)もあるのに、鑑賞した事を憶えていないんですね。
藤田監督らしく、80年代不倫ドラマらしく、さまざまな大人の事情、問題は解決されることなく終わる。時代の雰囲気ってやつですか。
名シーンもいっぱいあります。
加藤がロケ中止で急遽帰ってきてしまい、不倫現場発覚のシーンが秀逸。
ややヒステリック気味にウロがくる妻と「何で俺が、隠れんのやだ」と開き直ろうとする山崎。
ビールを一杯酌み交わし、山崎が帰って、俺も寝ようと寝室に入る加藤に、はっと慌てて追う妻。万事休す。崩れ折れる。
情事が発覚しても無言。雨の中、神田川の見える屋上で一心不乱で壁当てキャッチボールする加藤。
フランスパンと日傘で、ふと山崎の家に向かう西武池袋線のホーム上の大谷直子の黄色いワンピ。
濡れ場のエロさも、中年のリアルさがあり高水準。
柄本明の背中と大谷直子の尻がカッコ良い。
大谷、石田の間に入って、若さが可愛い高橋ひとみの由子。
処女なのに、女優として参加している自主制作っぽい映画はピンク映画。
カーセックス・シーンで本当に喪失。
姉妹の銭湯シーンは垂涎。
加藤の女の役で中村れい子も出演していたではないですか。
視力の悪そうな目とやや姿勢の悪い背が色っぽい。が、脱ぎは無し。
ロマンポルノの一方向の名作であることは間違いなし、堪能いたしました。
神保町シアター
中山千夏×大谷直子
「ダブルベッド」1983年 にっかつ 監督:藤田敏八
昔の仲間の葬儀に出た加藤(岸部一徳)とその妻、雅子(大谷直子)は、その帰りに昔なじみの店で山崎(柄本明)とその若い恋人・理子(石田えり)と会う。気遅れして一人で帰った理子をのぞく3人は、雅子のマンションで飲み始める。山崎の愛撫で気持ちが高ぶった雅子は加藤とSEX。行為の声を耳にした山崎は理子のアパートに行くが、妹の由子(高橋ひとみ)しかそこにおらず、そのことは後に2人に諍いを起こさせる原因となってしまう。そのやるせなさから加藤の家に電話を入れる山崎。雅子と飲む約束をとりつけた彼は、アルコールが入った後、ラブホテルへ。2人はその後もしばし関係を持ち始め、やがてそれは加藤の知るところとなり、雅子は山崎の家へ飛び込むのだったが…
102分にわたるこのロマンポルノ大作は未見のため一度見ておこうと足を運んだが、鑑賞中に気づいた。見てるのです、この作品。
ぜんぜん記憶から飛んでいたのです。ところが見ていると荒井晴彦の印象的な台詞の何点かを役者が発する前に、ふと脳裏に蘇るほど憶えているのでした。
「由子ちゃん処女なんだから」山崎が妹(高橋ひとみ)に手を出さないよう釘を刺す理子(石田えり)
「大学の図書館にはあなたが居ないから」ベタな口説き文句でナンパされる理子
「あの晩、加藤とやってただろ、いい声してた」雅子(大谷直子)と関係後ふと言う厭らしさ、山崎(柄本明)
「山崎さんの何か考えてる顔、初めて見た」図書館をさぼって山崎の家にきた理子。「やっぱりあなたが好きよ・・・」
「回しかぁ・・・」図書館ナンパの院生の仲間の厭らしい目つきから、逃げ出すホットパンツの理子。
「俺は、ただ、あの人とやっていたいんだ。やり続けてたいんだ」・・・「人の女房になんて事を!」ウイスキーをぶっかけられる山崎。
「俺も女と別れる」「女、居たんだ・・・」妻と和解を求める加藤(岸部一徳)の藪蛇。
「あ、お金」「払えって事?」御用聞きの若者を食っちゃう雅子。
台詞が記憶の底に沈んでいたのに、大谷直子の大胆演技(すっかり忘れてます)もあるのに、鑑賞した事を憶えていないんですね。
藤田監督らしく、80年代不倫ドラマらしく、さまざまな大人の事情、問題は解決されることなく終わる。時代の雰囲気ってやつですか。
名シーンもいっぱいあります。
加藤がロケ中止で急遽帰ってきてしまい、不倫現場発覚のシーンが秀逸。
ややヒステリック気味にウロがくる妻と「何で俺が、隠れんのやだ」と開き直ろうとする山崎。
ビールを一杯酌み交わし、山崎が帰って、俺も寝ようと寝室に入る加藤に、はっと慌てて追う妻。万事休す。崩れ折れる。
情事が発覚しても無言。雨の中、神田川の見える屋上で一心不乱で壁当てキャッチボールする加藤。
フランスパンと日傘で、ふと山崎の家に向かう西武池袋線のホーム上の大谷直子の黄色いワンピ。
濡れ場のエロさも、中年のリアルさがあり高水準。
柄本明の背中と大谷直子の尻がカッコ良い。
大谷、石田の間に入って、若さが可愛い高橋ひとみの由子。
処女なのに、女優として参加している自主制作っぽい映画はピンク映画。
カーセックス・シーンで本当に喪失。
姉妹の銭湯シーンは垂涎。
加藤の女の役で中村れい子も出演していたではないですか。
視力の悪そうな目とやや姿勢の悪い背が色っぽい。が、脱ぎは無し。
ロマンポルノの一方向の名作であることは間違いなし、堪能いたしました。
神保町シアター