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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「わいせつ性楽園 〜おじさまと私〜」

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「野上正義さん追悼上映会」

「わいせつ性楽園 〜おじさまと私〜」2009年 監督:友松直之

金生活者の上野は妻を7年前に亡くし、今は次女の明美と二人暮らし。キャリアウーマンの明美の代わりに家事全般を上野がこなしている。ある日、上野は若いマリカと出会う。暴力を働く彼氏・ケンジと路上で別れ話をしている所を上野が助けたのだ。パニック症候群で呼吸がうまく出来なくなったマリカを家で休ませると、彼女は義父に関係を強要されるなどの不幸な生い立ちを語る。折しも明美は外泊すると言っていたので、同情した上野はマリカを一晩だけ泊めてやることにした。マリカは恩義として風呂に入っていた上野の背中を流した。


昨年末、若松映画、ピンク映画で多くの出演作を持つ野上正義氏が亡くなり、上野オークラ劇場では急遽、追悼上映会が企画されました。
上映が晩年の作品2本で、どうなのかな?と思ったのですが、本作、野上正義を追悼するに相応しいピンクの傑作でした。

いきなり、老いた野上正義のからみシーン。
ひょっとしたら最近は出演しても、からみシーンの無い役が多かったんじゃないでしょうか。
若い女の上になって全裸で腰を使う野上正義の肢体。老いの中に輝く生気にちょっと感動。

役者野上正義の飄々とした演技と主演水無月レイラの下手な台詞回しによって、本当は暗い話なのに、爽やか感さえ感じる作品となっていました。

苦しく厳しい人生を余儀なくされているマリカが、自分の人生をまったく苦に思ったり悔いたりしていない様が良いのです。そして、あっけなく死んじゃう展開も・・・

年寄り相手に女を取り合い、刃物を持ち出す彼氏ケンジにお敢然と立ちはだかる上野老人。なまじな戦争体験者(幼い頃に沢山の死者を見てきた)が軟弱現代青年をギャフンと言わすのは痛快なる任侠です。

どうせケンジに「2人は出来ている」と思われているのだからと、ついにマリカが上野を誘い結ばれます。
この時、マリカが名言を天使のように囁くんだなぁ。何っつってたかなぁ(忘却)

そこには、最近のピンク映画にありがちなハートウォーミング展開の嫌らしさは無く、人生賛歌としてちゃんと成り立っているんですねもの。

友松直之監督からは当分、目が離せないんじゃないかな。

上野オークラ劇場

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