「戦争と6人の女」
「四畳半色の濡れ衣」1983年 東映セントラル 監督:向井寛
昭和7年。遊郭・旭楼にやってきた朝子は夜な夜な男たちと枕を交わす苦界の日々。彼女の父はアカの容疑で拷問死、母はそのときから精神を病んでいた。やがて病院の跡取り息子・昭彦と恋におちた朝子だったが……。永井荷風の戯作「四畳半襖の裏張り」に想を得た野坂昭如の小説を、ピンク映画の巨匠向井寛が当時人気絶頂の美保純の主演で映画化。女郎たちの点描が光る。
「ピンクのカーテン」で人気を博した同世代ポルノ女優・美保純(1960-)だけれど、当時は可愛いとは思ったもののまったく興味無し。この人はウルトラマンマックスで演ったようにおばちゃんになってからの方が良いように思っていた。けれども、今回、やはりそのスター性というか、輝きオーラというのには感心した。
本作では遊郭旭楼をふらりと白いパラソルで訪ねてきた、場違いな感じのお嬢様。いったいどんな経緯でもって苦界に身を落としたんでしょうか。それは見て行くと追々解るのです・・・。要はアカの大人物の娘だったって事になるんですが。
いろいろ先輩方からの苛めなどもありますが、根っからのしっかり者でへこたれない。それどころか女郎だって人間なんだという正しいヒューマニズムでもって苛め対象の娘をかばったりする。このあたりの展開、何か最近、見たような・・・。
そうだ、安田道代の「秘録 おんな蔵」と共通するテーマがあるんね。
美保純に負けずに輝いているのは大阪弁あやつるアンヌ隊員のひし美ゆり子様(1947-・当時36歳)
美保純をいびる彼女も父親である山谷初男が訪ねてきて、何やら訳ありの風情・・・。
物語は女郎を当たり前のように一人の人間として見ている正義の若先生(村島修)と美保純の純愛物語へ・・・。
若先生のフィアンセが旭楼に乗り込んできた際にひし美ゆり子以下、女郎達が皆で美保純の加勢に回る。このあたり、ベタな青春ドラマ展開でなんとも味があります。
野坂昭如の原作は読んじゃいないだろうと思ったけど、文庫の表紙カバーを見ると見憶えが・・・。まったく記憶しておりませんが、これは読んだかもしれん。いや、読もうとして買ってそのままつん読状態だったのかしら。
まぁ、どうでもええし・・・。
原作がそうなのか、この映画のせいなのか、永井荷風の「四畳半」のような空気感はあまり感じない。芸者じゃなくて完全に女郎だったし。神代監督作や三田佳子の「しの」のような空気感が無いんですね。ま、それは「四畳半襖の裏張り」ではなくて、あくまでそれに想を得た原作なわけだから仕方ないのだけれど。
田舎から出てきたおぼこ娘が水揚げして、いづれ、「おいしいおまんま食べれて、いろんな男とやれて最高」なんて能天気に淫乱ぶりをかましているなど、確かに女郎群像劇の一面に良いものがありますぜ。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「四畳半色の濡れ衣」1983年 東映セントラル 監督:向井寛
昭和7年。遊郭・旭楼にやってきた朝子は夜な夜な男たちと枕を交わす苦界の日々。彼女の父はアカの容疑で拷問死、母はそのときから精神を病んでいた。やがて病院の跡取り息子・昭彦と恋におちた朝子だったが……。永井荷風の戯作「四畳半襖の裏張り」に想を得た野坂昭如の小説を、ピンク映画の巨匠向井寛が当時人気絶頂の美保純の主演で映画化。女郎たちの点描が光る。
「ピンクのカーテン」で人気を博した同世代ポルノ女優・美保純(1960-)だけれど、当時は可愛いとは思ったもののまったく興味無し。この人はウルトラマンマックスで演ったようにおばちゃんになってからの方が良いように思っていた。けれども、今回、やはりそのスター性というか、輝きオーラというのには感心した。
本作では遊郭旭楼をふらりと白いパラソルで訪ねてきた、場違いな感じのお嬢様。いったいどんな経緯でもって苦界に身を落としたんでしょうか。それは見て行くと追々解るのです・・・。要はアカの大人物の娘だったって事になるんですが。
いろいろ先輩方からの苛めなどもありますが、根っからのしっかり者でへこたれない。それどころか女郎だって人間なんだという正しいヒューマニズムでもって苛め対象の娘をかばったりする。このあたりの展開、何か最近、見たような・・・。
そうだ、安田道代の「秘録 おんな蔵」と共通するテーマがあるんね。
美保純に負けずに輝いているのは大阪弁あやつるアンヌ隊員のひし美ゆり子様(1947-・当時36歳)
美保純をいびる彼女も父親である山谷初男が訪ねてきて、何やら訳ありの風情・・・。
物語は女郎を当たり前のように一人の人間として見ている正義の若先生(村島修)と美保純の純愛物語へ・・・。
若先生のフィアンセが旭楼に乗り込んできた際にひし美ゆり子以下、女郎達が皆で美保純の加勢に回る。このあたり、ベタな青春ドラマ展開でなんとも味があります。
野坂昭如の原作は読んじゃいないだろうと思ったけど、文庫の表紙カバーを見ると見憶えが・・・。まったく記憶しておりませんが、これは読んだかもしれん。いや、読もうとして買ってそのままつん読状態だったのかしら。
まぁ、どうでもええし・・・。
原作がそうなのか、この映画のせいなのか、永井荷風の「四畳半」のような空気感はあまり感じない。芸者じゃなくて完全に女郎だったし。神代監督作や三田佳子の「しの」のような空気感が無いんですね。ま、それは「四畳半襖の裏張り」ではなくて、あくまでそれに想を得た原作なわけだから仕方ないのだけれど。
田舎から出てきたおぼこ娘が水揚げして、いづれ、「おいしいおまんま食べれて、いろんな男とやれて最高」なんて能天気に淫乱ぶりをかましているなど、確かに女郎群像劇の一面に良いものがありますぜ。
ラピュタ阿佐ヶ谷