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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「ある脅迫」

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「蔵原惟繕 日活デイズ」

「ある脅迫」1960年 日活 監督:蔵原惟繕

北陸の地方銀行、本店栄転が決まった次長と卑屈な万年平社員。二人はかつての幼馴染で・・・。要領のよい次長役の金子信雄、小心な男が一転、陰険な脅迫者となる平社員役の西村晃という名悪役の対決は圧巻。巧みな伏線とミスディレクション、驚愕のエンディング、見事なカメラワークと蔵原の才気がほとばしる傑作サスペンス。

わずか65分の小品なれどフィルム・ノワール、サスペンスとしてピリッと味わい深い傑作でした。
やはり金子信雄と西村晃。特に西村晃の庶務係りは妹の白木マリもイライラと悔し涙をながさせるほど、お人よしで凡庸ぶり。とかろが・・・という奴だ。
観客も完全に騙されます。
この、金子信雄と西村晃のやりとり、かけあいというか間がとても不思議な感覚。一種のユーモアを伴っている。
あぁ、そうだ、キャラ設定はまったく違うけれど、なんかこの間は「長短」なんだな・・・
西村晃が金子信雄を「恭さん」と呼ぶのが「長さん」に聞こえてくるじゃないの。あ、逆か。

ヤクザに印鑑偽造、浮き貸しのネタを握られ脅迫される滝田恭助(金子信雄)は灯台元暗しで銀行強盗を唆され実行。
この強盗のシーンは今見るとかなり突っ込み処満載って感じなんですけど。
素人のやる事ですからドジごしらえです。それにしてもサングラスを割っちゃいけません。

最初から事件の真相を握っていた庶務係中池(西村晃)、決してお人良しなんかじゃなかったわけで。観客はわかった途端、それまでの彼の行動を思い返してみる事によって唸らされちゃう。

守衛の爺さん(といってもまだまだ若い)が浜村純。こういう役はうってつけですね。可愛い。

悪事露見の経緯は謎のまま迎えるエンディング。汽車の中、がっくり項垂れる金子信雄の姿と呆気にとられる西村晃が印象的。

シネマヴェーラ渋谷

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