「サンタ・サングレ/聖なる血」1989年 伊・墨 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
SANTA SANGRE
サーカス団長のオルゴとブランコ乗りコンチャの間に生まれたフェニックスは繊細で感受性豊かな少年。父オルゴは女たらしのサディスト。ある日父の浮気現場を発見した母は、彼の下半身に硫酸を浴びせるが、これに激怒した夫は彼女の腕を切断し、自らも喉をかっ切って果てる。この一部始終を目撃したフェニックスはショックの余り精神を病んで施設に収容された。やがて成長した青年フェニックスは、病んだ精神を母の狂気に操られて、女すべてへの身の毛もよだつ復讐を繰り返すが……。
「ホドロフスキーのDUNE」の上映に伴い、過去作品が特集上映されているのは嬉しい。
ホドロフスキー3大作のうちこの1本はなかなか機会が合わず観れずにいたのです。
ホドロフスキーと息子たち
フェニックス(少年期)アダン・ホドロフスキー
フェニックス(青年期)アクセル・ホドロフスキー
噂通り、前2作に比べストーリー性が強く難解度も低く馴染みやすい、・・・・はずなんだが・・・
ホドロフスキーの語り口は健在。ひょっとしてこの語り口の魅力というのは難解というオブラートに包まれる事によって鑑賞側に一種の麻痺感覚を及ぼすんとちゃうやろか。
難解度が低いだけに、ホドロフスキーの語り口が異常に際立ち、ちょっとうんざりしてしまう。
ただ、全ての理由が帰結して行き(もっとも途中から凡その見当は付く展開だが)詩情豊かなラスト・シーンは猟奇殺人を扱った物として極めて甘美で感動的である事も確かで、前2作と比べて本作を低く評価することは出来ません。
ホドロフスキーがサーカスを舞台に1本作るのだから、そりゃ魅力的な絵が多く飛びだすわさ。
従順な召使い役の可愛い侏儒。精薄のお友達・・・
幻覚的なカットも多く挿し挟まる。死んじゃう象さん、鶏の群れ、墓地から甦る白塗りの幽霊。
フェニックス(アクセル)とコンチャ(ブランカ・ゲーラ)の二人羽織芸。
物語の中で詩情を高めるのが天使のような聾唖の娘アルマ(サブリナ・デニソン)
鑑賞中はこの末端肥大症の兵隊に襲われそうになる娘がもう少し可愛く魅力があればなぁと思っていた。素顔も白塗りも不細工ですから。しかし、最後まで鑑賞すると、これはこれで良かったのかもしれないと思える。不細工でこその役とまで思えてしまう。
音楽も、劇中の生演奏が臨場感を与えますが、そんな中、腕を失った母親に導かれるように精神病棟からフェニックスが抜けだすシーンの劇伴が温かくとても良ござんした。
何か書き記すというより画像集めに執着したくなる作品ですので・・・
こうやって、鑑賞後、画像を拾っていくと、うんざりと感じていた鑑賞中と異なる本作が本当に魅力的で愛おしい作品に思えて印象が変わってくるものです。
マザー・コンプレックス、エディプス・コンプレックス、猟奇殺人・・・
ヒッチコックの「サイコ」を連想させる殺戮シーンやフェニックスが透明人間になるため薬を開発しようとしたり、ホドロフスキーのサービス精神も垣間見えます。
渋谷UPLINK
SANTA SANGRE
サーカス団長のオルゴとブランコ乗りコンチャの間に生まれたフェニックスは繊細で感受性豊かな少年。父オルゴは女たらしのサディスト。ある日父の浮気現場を発見した母は、彼の下半身に硫酸を浴びせるが、これに激怒した夫は彼女の腕を切断し、自らも喉をかっ切って果てる。この一部始終を目撃したフェニックスはショックの余り精神を病んで施設に収容された。やがて成長した青年フェニックスは、病んだ精神を母の狂気に操られて、女すべてへの身の毛もよだつ復讐を繰り返すが……。
「ホドロフスキーのDUNE」の上映に伴い、過去作品が特集上映されているのは嬉しい。
ホドロフスキー3大作のうちこの1本はなかなか機会が合わず観れずにいたのです。
ホドロフスキーと息子たち
フェニックス(少年期)アダン・ホドロフスキー
フェニックス(青年期)アクセル・ホドロフスキー
噂通り、前2作に比べストーリー性が強く難解度も低く馴染みやすい、・・・・はずなんだが・・・
ホドロフスキーの語り口は健在。ひょっとしてこの語り口の魅力というのは難解というオブラートに包まれる事によって鑑賞側に一種の麻痺感覚を及ぼすんとちゃうやろか。
難解度が低いだけに、ホドロフスキーの語り口が異常に際立ち、ちょっとうんざりしてしまう。
ただ、全ての理由が帰結して行き(もっとも途中から凡その見当は付く展開だが)詩情豊かなラスト・シーンは猟奇殺人を扱った物として極めて甘美で感動的である事も確かで、前2作と比べて本作を低く評価することは出来ません。
ホドロフスキーがサーカスを舞台に1本作るのだから、そりゃ魅力的な絵が多く飛びだすわさ。
従順な召使い役の可愛い侏儒。精薄のお友達・・・
幻覚的なカットも多く挿し挟まる。死んじゃう象さん、鶏の群れ、墓地から甦る白塗りの幽霊。
フェニックス(アクセル)とコンチャ(ブランカ・ゲーラ)の二人羽織芸。
物語の中で詩情を高めるのが天使のような聾唖の娘アルマ(サブリナ・デニソン)
鑑賞中はこの末端肥大症の兵隊に襲われそうになる娘がもう少し可愛く魅力があればなぁと思っていた。素顔も白塗りも不細工ですから。しかし、最後まで鑑賞すると、これはこれで良かったのかもしれないと思える。不細工でこその役とまで思えてしまう。
音楽も、劇中の生演奏が臨場感を与えますが、そんな中、腕を失った母親に導かれるように精神病棟からフェニックスが抜けだすシーンの劇伴が温かくとても良ござんした。
何か書き記すというより画像集めに執着したくなる作品ですので・・・
こうやって、鑑賞後、画像を拾っていくと、うんざりと感じていた鑑賞中と異なる本作が本当に魅力的で愛おしい作品に思えて印象が変わってくるものです。
マザー・コンプレックス、エディプス・コンプレックス、猟奇殺人・・・
ヒッチコックの「サイコ」を連想させる殺戮シーンやフェニックスが透明人間になるため薬を開発しようとしたり、ホドロフスキーのサービス精神も垣間見えます。
渋谷UPLINK