「映画史上の名作11」
「嵐が丘」1939年 米 監督:ウィリアム・ワイラー
北イングランドに「嵐ケ丘」と呼ばれる荒涼たる邸があった。当主のアンショウは慈悲心に富んだ老紳士で、リヴァープールへの旅の途中で飢えていたジプシーの少年を拾い、ヒースクリフと名づけ家族の一員に加えた。アンショウには息子のヒンドリーと娘のキャシーがいたが、ヒンドリーはヒースクリフを憎悪し、ことあるごとに虐待した。男優りのキャシーはヒースクリフと親しく、ペニストーンの岩を2人の城になぞらえ、よく遊んだ。アンショーの死後、嵐ケ丘の当主となったヒンドリーはヒースクリフを邸内から厩舎に追い出してしまったが、キャシーとヒースクリフはお互いに将来への希望を抱き合っていた。そして時が流れた。ヒンドリーは酒と女に放埓な日々を送り、キャシーはヒースクリフに激しく惹かれながらも、華やかな上流生活に憧れた・・・。
この映画は昔から一度は見ておかなくっちゃ、と思っていたんです。
理由の一つには亡き母から思い出に残る映画と言う事で存在を知らされていた事。当時は恋愛映画らしいので興味は抱かなかったし、原作も女流のモノだった事もあり読まずに過ぎた。まだこの頃は映画を観たいとは思っていなかった。
その後、以下のようなスケッチに出くわしてから、こいつは、本ネタをいつかは観なきゃと思うようになったのです。
Monty Python - The Semaphore Version of Wuthering Heights
おかしいぞ、いつまでたっても手旗信号振らんじゃないの・・・。
原作は未読であるけれど、まだこの続きがあり、ヒースクリフの復讐譚の意味合いが強いという。
映画としてはヒースクリフとキャシーの恋愛モノとしての側面を強調した事により興行的にも成功したんでしょう。
だからこそ亡き母にもお気に入り映画になっていたのでしょう。
でも個人的にはホラー路線や復讐路線で行ってくれた方が良いのだけれど・・・。
冒頭のモノクロ映像の暗さの中での亡霊の声。
道に迷った旅人に対して嵐が丘のお屋敷の主人ヒースクリフを始めとした住人たちのとっても不穏な態度。
このオープニングの不穏さからホラー展開に行かないのは何とも残念。
幼い頃のヒースクリフとキャシー、兄妹同様に育った幼馴染みがどのように恋愛に発展したのかは興味深いけれど本作(多分原作でも)では不明。
まぁ、かなりキャシーが面喰いだったという事は確かなようで。
このお嬢の我がまま身勝手ぶりはなかなか強かで良いのよね。
ヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)に王子として私をこの世界から救い出して欲しいと願っている。
ヒースクリフはキャシー(マール・オベロン)の事が愛しいので厩に甘んじながらも邸を出ようとはしない。
今二人で駈け落ちを持ちかけても、キャシーは一緒に苦労するのはまっぴら御免。苦労はあなた一人でして出世してから迎えに来てほしい、とは・・・
ヒースクリフがアメリカに出て、いったいどのような成功をして紳士になったのか、興味深いところですが、劇中でヒースクリフは冗談のようにはぐらかすのみ。原作ではどうなんでしょう。物語に対して影響が無く切り捨てられたのかもしれない。
ヒースクリフの復讐は罪もないエドガーの妹イザベル(ジェラルディン・フィッツジェラルド)にまで及ぶのですが、この妹、お屋敷でお嬢様として登場した時は美貌も言う程でなく魅力に欠けるのだが、ヒースクリフに嫁いで愛に飢えながら苦労を重ねてやつれてくると、これがなかなか良い女に見えてくる。いいぞいいぞ。
個人的にはイザベルがヒースクリフに愛を求めるシーンが一番好きですね。ロマンチックなペニストーンでのシーンよりもね。
クラシックな名画である事は間違いないのだけれど、ホラー展開、もしくは手旗信号路線を望みたいよ。
シネマヴェーラ渋谷
「嵐が丘」1939年 米 監督:ウィリアム・ワイラー
北イングランドに「嵐ケ丘」と呼ばれる荒涼たる邸があった。当主のアンショウは慈悲心に富んだ老紳士で、リヴァープールへの旅の途中で飢えていたジプシーの少年を拾い、ヒースクリフと名づけ家族の一員に加えた。アンショウには息子のヒンドリーと娘のキャシーがいたが、ヒンドリーはヒースクリフを憎悪し、ことあるごとに虐待した。男優りのキャシーはヒースクリフと親しく、ペニストーンの岩を2人の城になぞらえ、よく遊んだ。アンショーの死後、嵐ケ丘の当主となったヒンドリーはヒースクリフを邸内から厩舎に追い出してしまったが、キャシーとヒースクリフはお互いに将来への希望を抱き合っていた。そして時が流れた。ヒンドリーは酒と女に放埓な日々を送り、キャシーはヒースクリフに激しく惹かれながらも、華やかな上流生活に憧れた・・・。
この映画は昔から一度は見ておかなくっちゃ、と思っていたんです。
理由の一つには亡き母から思い出に残る映画と言う事で存在を知らされていた事。当時は恋愛映画らしいので興味は抱かなかったし、原作も女流のモノだった事もあり読まずに過ぎた。まだこの頃は映画を観たいとは思っていなかった。
その後、以下のようなスケッチに出くわしてから、こいつは、本ネタをいつかは観なきゃと思うようになったのです。
Monty Python - The Semaphore Version of Wuthering Heights
おかしいぞ、いつまでたっても手旗信号振らんじゃないの・・・。
原作は未読であるけれど、まだこの続きがあり、ヒースクリフの復讐譚の意味合いが強いという。
映画としてはヒースクリフとキャシーの恋愛モノとしての側面を強調した事により興行的にも成功したんでしょう。
だからこそ亡き母にもお気に入り映画になっていたのでしょう。
でも個人的にはホラー路線や復讐路線で行ってくれた方が良いのだけれど・・・。
冒頭のモノクロ映像の暗さの中での亡霊の声。
道に迷った旅人に対して嵐が丘のお屋敷の主人ヒースクリフを始めとした住人たちのとっても不穏な態度。
このオープニングの不穏さからホラー展開に行かないのは何とも残念。
幼い頃のヒースクリフとキャシー、兄妹同様に育った幼馴染みがどのように恋愛に発展したのかは興味深いけれど本作(多分原作でも)では不明。
まぁ、かなりキャシーが面喰いだったという事は確かなようで。
このお嬢の我がまま身勝手ぶりはなかなか強かで良いのよね。
ヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)に王子として私をこの世界から救い出して欲しいと願っている。
ヒースクリフはキャシー(マール・オベロン)の事が愛しいので厩に甘んじながらも邸を出ようとはしない。
今二人で駈け落ちを持ちかけても、キャシーは一緒に苦労するのはまっぴら御免。苦労はあなた一人でして出世してから迎えに来てほしい、とは・・・
ヒースクリフがアメリカに出て、いったいどのような成功をして紳士になったのか、興味深いところですが、劇中でヒースクリフは冗談のようにはぐらかすのみ。原作ではどうなんでしょう。物語に対して影響が無く切り捨てられたのかもしれない。
ヒースクリフの復讐は罪もないエドガーの妹イザベル(ジェラルディン・フィッツジェラルド)にまで及ぶのですが、この妹、お屋敷でお嬢様として登場した時は美貌も言う程でなく魅力に欠けるのだが、ヒースクリフに嫁いで愛に飢えながら苦労を重ねてやつれてくると、これがなかなか良い女に見えてくる。いいぞいいぞ。
個人的にはイザベルがヒースクリフに愛を求めるシーンが一番好きですね。ロマンチックなペニストーンでのシーンよりもね。
クラシックな名画である事は間違いないのだけれど、ホラー展開、もしくは手旗信号路線を望みたいよ。
シネマヴェーラ渋谷