「日活青春グラフィティ 泣いて、笑って、突っ走れ!」
「美しい庵主さん」1958年 日活 監督:西河克己
ひっそりと佇む古びた尼寺・明秀庵。そこへ庵主の姪の女子大生がボーイフレンドを連れて転がりこんできた!旭&ルリ子の学生アベックが、若い尼との交流を通じて、青春の尊さを知る──。
今時(当時)の学生の最先端を行くようにドライに稼ぐ2人。昭夫(小林旭)はバーテンのバイト先でマダムの若いツバメとして多くの貢物をもらっているし、悦子は何やら売春詐欺のような事をして稼いでいるらしい。この2人はとても仲の良い友達だが、まだ恋人では無い。
2人がテンポの良い会話でポンポンとしゃっべていると、周囲では交通渋滞を引き起こすなんてベタなギャグがあったり・・・。
ちょっと浅丘ルリ子の甲高い声が気に障るけど、息の合った会話は楽しい。
会話の妙と言ったら、負けていないのが明秀庵の庵主さん、昌光尼(東山千栄子)と栄勝尼(高橋とよ)の会話も楽しい。
代々美人が庵主となる明秀庵。東山千栄子も昔は美人だったのだろう。確かにお嬢様ぽい品はある。対して、物事をズケズケとはっきり言う栄勝尼。
昭夫と悦子の関係を心配する庵主さんと、そんな事はあまり気にしていない豪放な栄勝尼。
この尼寺の良いところは、昭夫が帰り際に感謝したように説教じみたことを一切言わないところ。
確かにゆるめの尼寺です。
さて、映画は東京から来た若い2人が、次代の庵主候補で口減らとして明秀庵に入り、修行を重ねる女学生、昌妙尼(芦川いづみ)との交流を通じて青春の尊さを知るという物なのだが、はっきり言ってこの映画、尼姿の芦川いづみを見るだけで価値があります。
もともと可愛い女優さんだとは思っていましたが、これは本当に似合う。可愛いったらないです。
くりくり頭になで肩の法衣、後ろ姿も可愛い。
こんな、昌妙ですから、昭夫も気になるのは当然、女を捨てた尼さんであっても、世の男性が放っておくわけがありません。大竹屋の息子(小沢昭一)は出汁に使っただけでしたが、駅の改札の男が何度も付け文をしていました。
太った改札員が片思いに敗れ、ラブレターを持ちかえるエピソードなんか、なんとなく良い感じ・・・。
しかし、昌妙の胸のうちは、やはり自分の生活、将来に不安を感じていて、知らぬうちに自分の中に「普通の女の子」として自由を求める気持ちがあったんですね。そりゃそうだわ。
あまりの清らかさゆえに、昭夫も自制して抱擁までに留まってしい、結局、昭夫は悦子への愛情を確認して尼寺での短い生活に充足感を持って去ってしまう。
残された昌妙が悦子から記念にと渡されたトランジスタラジオから流れる強いビートサウンドを聞きながら木に凭れ、目を閉じている・・・。
やはりちょっと不憫です。
明秀庵の他の尼さんたち(方言丸出し尼と男嫌い尼)のキャラも楽しい異色の青春映画。
尼物というと、すぐにエログロ映画を想起してしまうけれど、こういう清らかな尼物は捨てがたい。
原作は有吉佐和子なんですね。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「美しい庵主さん」1958年 日活 監督:西河克己
ひっそりと佇む古びた尼寺・明秀庵。そこへ庵主の姪の女子大生がボーイフレンドを連れて転がりこんできた!旭&ルリ子の学生アベックが、若い尼との交流を通じて、青春の尊さを知る──。
今時(当時)の学生の最先端を行くようにドライに稼ぐ2人。昭夫(小林旭)はバーテンのバイト先でマダムの若いツバメとして多くの貢物をもらっているし、悦子は何やら売春詐欺のような事をして稼いでいるらしい。この2人はとても仲の良い友達だが、まだ恋人では無い。
2人がテンポの良い会話でポンポンとしゃっべていると、周囲では交通渋滞を引き起こすなんてベタなギャグがあったり・・・。
ちょっと浅丘ルリ子の甲高い声が気に障るけど、息の合った会話は楽しい。
会話の妙と言ったら、負けていないのが明秀庵の庵主さん、昌光尼(東山千栄子)と栄勝尼(高橋とよ)の会話も楽しい。
代々美人が庵主となる明秀庵。東山千栄子も昔は美人だったのだろう。確かにお嬢様ぽい品はある。対して、物事をズケズケとはっきり言う栄勝尼。
昭夫と悦子の関係を心配する庵主さんと、そんな事はあまり気にしていない豪放な栄勝尼。
この尼寺の良いところは、昭夫が帰り際に感謝したように説教じみたことを一切言わないところ。
確かにゆるめの尼寺です。
さて、映画は東京から来た若い2人が、次代の庵主候補で口減らとして明秀庵に入り、修行を重ねる女学生、昌妙尼(芦川いづみ)との交流を通じて青春の尊さを知るという物なのだが、はっきり言ってこの映画、尼姿の芦川いづみを見るだけで価値があります。
もともと可愛い女優さんだとは思っていましたが、これは本当に似合う。可愛いったらないです。
くりくり頭になで肩の法衣、後ろ姿も可愛い。
こんな、昌妙ですから、昭夫も気になるのは当然、女を捨てた尼さんであっても、世の男性が放っておくわけがありません。大竹屋の息子(小沢昭一)は出汁に使っただけでしたが、駅の改札の男が何度も付け文をしていました。
太った改札員が片思いに敗れ、ラブレターを持ちかえるエピソードなんか、なんとなく良い感じ・・・。
しかし、昌妙の胸のうちは、やはり自分の生活、将来に不安を感じていて、知らぬうちに自分の中に「普通の女の子」として自由を求める気持ちがあったんですね。そりゃそうだわ。
あまりの清らかさゆえに、昭夫も自制して抱擁までに留まってしい、結局、昭夫は悦子への愛情を確認して尼寺での短い生活に充足感を持って去ってしまう。
残された昌妙が悦子から記念にと渡されたトランジスタラジオから流れる強いビートサウンドを聞きながら木に凭れ、目を閉じている・・・。
やはりちょっと不憫です。
明秀庵の他の尼さんたち(方言丸出し尼と男嫌い尼)のキャラも楽しい異色の青春映画。
尼物というと、すぐにエログロ映画を想起してしまうけれど、こういう清らかな尼物は捨てがたい。
原作は有吉佐和子なんですね。
ラピュタ阿佐ヶ谷