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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「一万年、後・・・・。」

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「沖島勲監督の全七作品、七週に亘り、一挙公開!! 過激で、キュートな、ユートピア。」

「一万年、後・・・・。」2007年 YYKプロダクション 監督:沖島勲 DVCAM

岡山の田舎に住む正一・淳子の兄妹のところへ、一万年前に伯父さんだったという男が、奇妙な衣装を着て時空を切り裂いて現れる。今や家の周辺には怪物がばっこし、兄妹の両親は怪物に食われてしまったという話だ。“叔父さんたちは傲慢だった。だから怪物に喰われても仕方ないんだ!!”少年が、叫ぶ。

おいおい、この監督に誰かもうちょっと予算付けてやれよ。と、言ってももう亡くなられてしまったんですけどね。この作品鑑賞時にはまだ訃報に触れていなかったので、そんな事を思った次第。
予算が無い事をいいことに、というか狙いなのか一万年後のSFを緩~く描いていて、なかなか味な作品で好きだよ。
第一、一万年というスケールが良いよね。すぐにバケの皮が剥がれる近未来SFと違って現世の物には検証しようもないので、好きにやれる。
何故か高度成長前の昭和の古いアパートが舞台。ほとんどこの部屋から出る事はないので、小劇場で演劇として見ても良さそうな脚本。

言葉遊びのセンスもなかなか良くって、映画のことは「やめとけ」、砂場くらいの大きさになったアメリカのことは「なんでや」と呼ばれている。
阿藤海の叔父さんは沖島監督自身がモデルなのか映画製作者であり、電波のひずみからアパートの壁に映し出される映画が「ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ」
阿藤海のお母さんとして洞口依子も映し出されるのが嬉しい。

妹の淳子ちゃんは学校のお誕生日会の出し物が決まらなくて困っているので映画監督でもある叔父さんが寸劇指導。
寸劇の名は「膵臓」
この小学生の演劇と踊り、一生懸命やっていながら小学生らしさが出ている按配が実に好ましい。

近未来SFのようにすぐに化けの皮が剥がれる事が無いと言ったが、沖島勲氏の死因は膵臓癌でも糖尿でも無かった。こんな所で化けの皮が剥がれるのも、まぁ、それはそれで・・・

エンディングに向かってちょっと過激な現代批評をチラっと見せながら煙に巻くような感じも憎い。




ラピュタ阿佐ヶ谷

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