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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「OL日記 濡れた札束」

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「加藤彰 たゆたう愛」

「OL日記 濡れた札束」1974年 日活 監督:加藤彰

前年秋に起こったばかりの滋賀銀行巨額横領事件がモデル。オールドミスになりかけの銀行員の女が、偶然知り合った若い男を愛し、彼のために横領を働いてしまう。逃亡中の彼女が人のいい中年男と同棲する姿や、孤独でやるせなかった時期が静謐に、現在と過去を往来しながら描かれる。主演の中島葵の謙虚な立ち居振る舞いが胸に染む、特集の最後を飾るにふさわしい厳かな冬の陽光に満ちた作品。

今回の加藤彰特集で観た作品の中でダントツの1本。傑作でした。
それなのに記事にし損ねていて。得てして良い作品ほどし損じるってのはある。眠っちゃったやつは「眠ってたよ」でいいし、つまらなかったら「つまらん」でいいからね。

観賞当時の事を思い出しながらポツポツと・・・

加藤彰ポルノ作品、どれも傑作とは思うけれどその女性心理の巧みな描き方に自分との相性面ですこし疑問が残りモヤモヤしていたのは事実。

まず、中島葵の嵌りっぷりが良い。
この人はまだ成人映画観賞年齢に到達していない頃、雑誌グラビアで観て、ポルノ女優にも強烈なおばはんが居るはなという思いがトラウマとなり、ずっと良い印象を持ってなかったんだけれど、男に騙される地味なオールドミスがピッタリだし、その演出方法も秀逸。逃亡中の中年男とのつましい同棲生活の描き方から漏れ出す愛の形。
男を見送る度に庭にしゃがみこむシーンが陽光と相まって、とても印象的で良いシーン。
間違いなく中島葵の代表作でしょう。

題材からして昨年観賞して、これまた優秀な邦画であった「紙の月」と題材的には被るので、どうしても比較してしまう。比較するもんじゃないと思うが・・・
映画が古い作品である事、まがりなりにもポルノである事、滋賀銀行の横領事件の記憶が生々しい時期に撮られた事。どれを取っても軍配は加藤彰に上がってしまう。「まがりなりにも」と言うのは、情事シーンも多く出てきますが、いい意味で抑制が効いている。現代なら一般映画にしても問題無しとは言いすぎ、・・・でしょうけど。
例えば姉役で絵沢萌子が出てくる。絵沢さんは脱がないので、ポルノ的には残念なんだけど、不満に感じない。あ、それは絵沢さん自体の優れた特性ではありますが。

「紙の月」はそんな不利な状況でありながら現代の作品として充分に優れている事に意味がある。

それにして、見事なまでに騙されますね。
飛行場の脇でのやり取りのせつない事ったらない。
何故、あんないかにもな男に騙されるのかと言っても、そういうもんだから仕方ないのですね。
男がひどく描かれれば描かれるほどモテナイ女の悲哀が浮かび上がります。男女逆転されてもそれは同様の事でしょうね。



ラピュタ阿佐ヶ谷


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