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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「激動の昭和史 沖縄決戦」

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戦後70年企画第二部
「映画を通して検証する日本の戦争 今こそ、反戦平和の誓いをこめて」

「激動の昭和史 沖縄決戦」1971年 東宝 監督:岡本喜八

沖縄軍10万人、民間人15万人、(県民の1/3)が命をおとし最大の激戦地となった沖縄。岡本が提起した「沖縄は本土のためにあるという沖縄軽視の考えがあるのではないか」というテーマは基地問題など現在も我々に突き付けられる。

太平洋戦争の悲劇は、最後の攻防・沖縄決戦に集約された。昭和19年10月10日、沖縄大空襲。那覇の町は一瞬にして灰となる。県民の動揺を煽るように、知事は本土に出張したまま、再び沖縄には帰ってこなかった。昭和20年1月、死を覚悟した新知事島田が着任。民間人も臨戦態勢で米軍の攻撃に備えた。4月1日、海を埋め尽くす20万の米兵が上陸。牛島司令官と長参謀長は割腹自殺を遂げ、軍部も壊滅の状態で沖縄は、女、子供、見境のない殺戮の地と化していった。

日本の夏は毎年、戦争映画の季節。今年は戦後70年。たまにはガチでこういうものに向き合いましょう。
岡本喜八の戦争ガチ側面がビンビン。戦争を娯楽に昇華した名作「独立愚連隊」とは意味合いが違います。
もっとも、あれだって戦争に対しての反骨は潜んでるんですけどね。
脚本は新藤兼人。
娯楽要素は娼婦から看護婦になった丘ゆり子のみです。

沖縄の惨状を再現。その戦場に圧倒されてしまう。
日本人の戦いという事を差し引いても、つい何日か前に見たキューブリックのベトナム戦争描写なんて手ぬるく感じる。実は「フルメタル・ジャケット」の第二部評価が辛いのはすぐ後にコレを見ちゃったからだ。

多くの登場人物によって描かれるそれぞれの死。
キャストがとても豪華。ほんの少しだけ顔を出す名優たち。
日本には良い役者が居る(居た)んだなぁ、あらためて思う。

中心となるのは、牛島中将(小林桂樹)、長参謀長(丹波哲郎)、八原高級参謀(仲代達也)
それぞれのキャラが明確で、戦争における仕事のできる人たちという感じで実にカッコ良く感じてしまったのだが・・・

さまざまな死に方をしていく中でもあらゆる自決が描かれている。
窮地に立っての牛島中将と長参謀長の勲章付き軍服を着た美学のみのようなハラキリ自決に口あんぐり・・・
降服もせずにカッコ良く死んでしまって、それによって戦況はますます悲惨な事に。

ある意味人間らしいし、日本人リーダーらしさ。
戦争という異常事態の中に現れます。

美学にすがるしかない状況。それは一種の逃避なのかもしれない。
美学なんてクソみたいなもんだけれど自分を守るためには大事な事?

それだけに自決志願する子供たちに「生きよ!」というメッセージを送る、校長(天本英世)や小倉曹長(地井武男)が救い。

クールな軍医(岸田森)の自決には、それまでお笑い担当の丘ゆり子の一言が!

ひめゆりの教師役で先ごろ亡くなった滝田祐介。「細腕繁盛記」くらいしか憶えていないので訃報記事は見送りましたが名バイプレイヤーですね。ご冥福を祈ります。

女優陣では「お嫁に行けなくなる!」絶叫の酒井和歌子と「あなた、軍人でしょう!」の大谷直子が印象深い。

確かに映画を通して日本の戦争が検証が出来ます。

見て損はない・・・
というか日本人は皇室も含め一度は見ておくべき傑作。






池袋 新文芸坐

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