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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「恋と太陽とギャング」

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「OIZUMI 東映現代劇の潮流Ⅱ」

「恋と太陽とギャング」1962年 東映東京 監督:石井輝男

マカオの賭博組織の大幹部・ロバートは、日本の某クラブで大規模な賭博を開催。網走帰りの伸夫とその女房の典子らはこの資金を強奪するが、ロバート一味との銃撃戦に発展してしまい…。

石井輝男のギャング映画。多分、原作が藤原審爾だけあっての事だと思うが、仲間集めの段や作戦の件が意外なほど面白い。
高倉健は養子婿殿だが微妙にどもる感じが絶妙。確実にドモるとコメディになりかねない所、ギリギリ留まっていて、かと言ってユーモラスな味を醸し出してる。
三原葉子は今まで何度か見てきたが、これこそが本領なんでしょうな。
人を食ってます。若い三原葉子ですが顔面の迫力はこの頃から、キャバレー・ダンサーというのもいかにも。
高倉健の女房は小宮光江という方。多分見るのは初めて。
務所から3年ぶりに帰ってきた亭主におねだりする感じが可愛い。
義母の清川虹子の女傑ぶりは流石、キレのある迫力。・・・でも寝惚けます。
三原葉子の弟役で山下敬二郎。ミッキー・カーチスと比べてしまうと演技はしょっぱい。
江原真二郎の狂気の演技。この人、ただの歯磨き父さんではないのですね。
由利徹はほんの端役だが、やはり出てくるだけで嬉しい気持ちにさせてくれる。
八名信夫の若さが映画の古さを物語っているのと同様に千葉慎一の紅顔の美少年ぶりに驚く。
そんな中、丹波哲郎は既にスタイルが確立されている。凄い。
三島雅夫の無国籍な感じも良い。あの冷静なキャラで、銃撃戦に安易に飛び込むのはどうかと思うけど。まぁ、死にますわな。

終盤から結末にかけては物語が破綻をきたしてしまうけれど、そこでやっと気づいた。タイトルの先頭に「恋」を持ってきている意味。
ギャング連中は皆一様にかあちゃん思いの愛妻家。丹波哲郎も一度は裏切った三原葉子に優しい言葉。この2人は屋上ぽいところに設置されている遊具(恐竜のような遊具、類似のものがうちの近所にあったが、流行ってたんか)箱型ブランコでのシーンが良い。

ラストシーンはちょっとキューブリックの「現金に身体を張れ」を思い出した。



期待していなかった分だけ面白かったよ。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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