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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「越後つついし親不知」

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「OIZUMI 東映現代劇の潮流Ⅱ」

「越後つついし親不知」1964年 東映東京 監督:今井正

夫が出稼ぎに出ている間、妻は他の男に襲われ身籠った。雪深い北陸越後を舞台に綴られる男と女の悲しい運命。
伏見大和屋酒造の杜氏は、遠く越後杜氏であった。日支事変の始った昭和十二年、瀬神留吉と佐分権助の二人は、農閑期を利用して出かせぎにきていた。留吉はおとなしい真面目な働き者で、年が明けると杜氏の大将格である船頭に抜擢されることになっていた。権助は評判の美しい嫁をもち、昇進もする留吉をねたんでいた・・・。

水上勉の原作はあまりに暗そうなので未読。
モノクロ作品だったんですね。
冒頭の酒造杜士描写での米の温かさが印象的で、その後強姦シーンの雪の白も印象的。
権助の三国連太郎は若い頃からこの手の外道強姦野郎な役をやらせると上手いね。
おしんの佐久間良子は美しいが、時代もあって強姦されるシーンの煽情さは今一。太腿さえもご本人かどうか怪しい。
そこを補うのが三国連太郎の強姦後の厭らしい執っこさ。炬燵で火箸を当てられるシーンが良い。
ただ、1度だけと言いながら2回目以降を強く要請しない(尻を触る程度)
好みとしては2回、3回と回を重ねるごとに最初は嫌悪していたおしんが次第に権助を可愛く思ってきてしまうなんていうストーリーだが文芸作品なのでそうはいかない。
それだけにおしんの女としての哀れさが悲しすぎる。
時代と農村故に余計に弱い立場。
夜中に流産を謀るため、石臼を持って佇んだり、冷たい川に入って「権助の子、降りろ」って念じるなんて・・・

権助の母親が死んで、親族で湯棺するシーンもあって貴重だなぁ。母親のやせ細った腿を見ておしんの太腿を連想する不届きな権助であります。

短編小説の映画化で中盤は権助目線からおしん目線になり、生い立ちなどが語られる。ここはちょっとダレる。
ただ奉公にあがった家のぼっちゃんで若き石橋連司が出てきてびっくり。

終盤は嫁が身籠っているのは自分の子でないと知った留吉(小沢昭一)目線になる。
小沢昭一も真面目で木訥な留吉を好演。怒りに燃えて農道を疾走する姿が良い。



過失致死に至って嫁の死体と過ごすあたりの描写は、言っちゃ悪いが田中登の「人妻集団暴行致死事件」に及ばない。

赤紙が来て村人たちから送られ行進する権助の後姿が悲しそうで印象的。
親不知、留吉が道連れにして転落。

留吉は権助と嫁の間の真相を知らずに嫁を亡き者にしてしまったので、妄想シーンではおしんが甘い快楽の表情をしている。
ただ、真相を知ったからと言って当時の時代背景や地域性からいって、どれほどおしんの身が救われるのかは解ったものじゃない。
やはり、あくまで悲しいお話です。

ところで、つついし(筒石)は能生の先(東側)ですよね。
能生は嫁方の親戚があるので行った事あるが親不知からは近いといえば近いが、遠いとも思えるが・・・
単純距離を測ったら30kmでございました。近いか。糸魚川を挟むんでね。



ラピュタ阿佐ヶ谷

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