「伝説の美女 魅惑の独演 昭和の銀幕に輝くヒロイン〔第80弾〕渡辺美佐子」
「人間に賭けるな」1964年 日活 監督:前田満州夫
坂崎彰は競輪場の帰り途で小松妙子と出会った。その時坂崎は、会社の金十五万円と自分の生活費を全部使い果していた。そんな坂崎が競輪で初めて大金を手にしたのは、妙子から教えられた飯田栄治に賭けた日であった。三十万という大金を手にして、妙子を探した坂崎は、競輪場でやくざに囲まれた妙子の姿を見て、強い興味を持った。
渡辺美佐子の競輪物といえば大好きな「競輪上人行状記」での迫真の演技が印象深いが、これはその1年後の主演作品。
こういう物があるとは知らなかった。こちらも原作は寺内大吉である。
冒頭に英語での会話に字幕。
外人さんが人間を信じて賭ける競輪という競技が成り立つ日本人について驚いている。そこには八百長の可能性が高いから欧米ではあり得ないというような内容。
これは、主役の坂崎(藤村有弘)が勤める外資系企業の女上司の言葉ってことのようだ。
そこから始まる当時の大宮競輪場の風景がとにかく素晴らしい。
ある意味、昭和30年代日本の文化の一片を切取った作品として価値が高い。
そして乗合白タクの走る土手での連れションの風景や構図が、どうにもカッコ良い。
ここで登場するのが謎の女・妙子の渡辺美佐子。後部シートを振り向く意味深さに一気に引き込まれるのは「競輪上人行状記」の鮮烈な記憶だけのせいではないはず。この女の謎は案外早い段階でどんどん暴かれていきミステリアスな要素は最初だけなのだけれど、とにかく、競輪場に和装で立つ渡辺美佐子姐さんのカッコ良さが堪らない。
本作は坂崎のように競輪で身を持ち崩す話かと思うとちょっと違って(最終的には破滅しますけど)飯田栄治(川地民雄)という有望な選手を暗黒の気配漂う競輪の駒から一流選手に変えてみせるという女の賭けだったりしてドラマとしてもなかなか魅せる。
飯田栄治の若い恋人、結城美栄子と渡辺美佐子が火花を散らす熾烈なバトルも見ごたえがある。
結城美栄子という女優さんはTVなどで個性的なフェイスを持った女優さんだと認識していましたが、若い頃の、このお嬢様役はまさにその魅力を如実に発揮しているようです。
きつめの目とスリムな肢体にワンピース姿が似合う。
私としては噂でしか知らない、最もガラの悪い頃の競輪場の情景と、それに似合う渡辺美佐子様を見れただけで高ポイントを叩き出してしまうのですが、勿論それだけじゃありません。
最初に申し上げた通りモノクロ作品ですが全体的に絵作りがとてもエキセントリックでカッコ良い。
渡辺美佐子が結城美栄子を引っ張り込む場内でも死角となるロケーションでの光と影。
藤村有弘と渡辺美佐子のネオンの点滅が漏れる安宿での一夜
「天国と地獄」を激情で歌い踊る渡辺美佐子には唖然。
あと、博打好きなダメ男・藤村有弘の妻がまた冷酷(子供への愛が欠如している感じ)な設定も何気に面白い。
前田満州夫という監督は存じ上げなかったのですが、寡作のようです。他も見てみたい。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「人間に賭けるな」1964年 日活 監督:前田満州夫
坂崎彰は競輪場の帰り途で小松妙子と出会った。その時坂崎は、会社の金十五万円と自分の生活費を全部使い果していた。そんな坂崎が競輪で初めて大金を手にしたのは、妙子から教えられた飯田栄治に賭けた日であった。三十万という大金を手にして、妙子を探した坂崎は、競輪場でやくざに囲まれた妙子の姿を見て、強い興味を持った。
渡辺美佐子の競輪物といえば大好きな「競輪上人行状記」での迫真の演技が印象深いが、これはその1年後の主演作品。
こういう物があるとは知らなかった。こちらも原作は寺内大吉である。
冒頭に英語での会話に字幕。
外人さんが人間を信じて賭ける競輪という競技が成り立つ日本人について驚いている。そこには八百長の可能性が高いから欧米ではあり得ないというような内容。
これは、主役の坂崎(藤村有弘)が勤める外資系企業の女上司の言葉ってことのようだ。
そこから始まる当時の大宮競輪場の風景がとにかく素晴らしい。
ある意味、昭和30年代日本の文化の一片を切取った作品として価値が高い。
そして乗合白タクの走る土手での連れションの風景や構図が、どうにもカッコ良い。
ここで登場するのが謎の女・妙子の渡辺美佐子。後部シートを振り向く意味深さに一気に引き込まれるのは「競輪上人行状記」の鮮烈な記憶だけのせいではないはず。この女の謎は案外早い段階でどんどん暴かれていきミステリアスな要素は最初だけなのだけれど、とにかく、競輪場に和装で立つ渡辺美佐子姐さんのカッコ良さが堪らない。
本作は坂崎のように競輪で身を持ち崩す話かと思うとちょっと違って(最終的には破滅しますけど)飯田栄治(川地民雄)という有望な選手を暗黒の気配漂う競輪の駒から一流選手に変えてみせるという女の賭けだったりしてドラマとしてもなかなか魅せる。
飯田栄治の若い恋人、結城美栄子と渡辺美佐子が火花を散らす熾烈なバトルも見ごたえがある。
結城美栄子という女優さんはTVなどで個性的なフェイスを持った女優さんだと認識していましたが、若い頃の、このお嬢様役はまさにその魅力を如実に発揮しているようです。
きつめの目とスリムな肢体にワンピース姿が似合う。
私としては噂でしか知らない、最もガラの悪い頃の競輪場の情景と、それに似合う渡辺美佐子様を見れただけで高ポイントを叩き出してしまうのですが、勿論それだけじゃありません。
最初に申し上げた通りモノクロ作品ですが全体的に絵作りがとてもエキセントリックでカッコ良い。
渡辺美佐子が結城美栄子を引っ張り込む場内でも死角となるロケーションでの光と影。
藤村有弘と渡辺美佐子のネオンの点滅が漏れる安宿での一夜
「天国と地獄」を激情で歌い踊る渡辺美佐子には唖然。
あと、博打好きなダメ男・藤村有弘の妻がまた冷酷(子供への愛が欠如している感じ)な設定も何気に面白い。
前田満州夫という監督は存じ上げなかったのですが、寡作のようです。他も見てみたい。
ラピュタ阿佐ヶ谷