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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「後妻業の女」

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「後妻業の女」2016年 東宝 監督:鶴橋康夫

妻に先立たれた中瀬耕造は、婚活パーティーで年下の女性・小夜子と出会う。やがて病に倒れた耕造は他界し、後妻におさまった小夜子から公式証書遺言状を見せられた娘の中瀬朋美は、遺産は全て小夜子に渡り遺族には一切残らないと知らされる。父の死に疑念を抱く朋美は探偵の本多を雇い、小夜子の身辺を調査するが……。

今夏の東宝はシン・ゴジラだけじゃないぞってのと、またまた大竹しのぶが凄いという噂を聞きつけ、映画サービスデーの最終回鑑賞。



原作は黒川博行のベストセラー小説。当然、原作未読。
これってコメディなのね。ピカレスク・コメディ。
後妻業。資産家の老人を狙う。高齢者結婚相談所でのパーティで獲物を決めて、プロの手口で遺産をせしめる。そのためには殺人も厭わずというのだからかなり凶悪。
「○○の女」と言えば、過去にも伊丹作品とかポルノでの小沼勝作品(そっちとの比較はせんでいいか?)で傑作揃い。果たしてそれらの傑作のお仲間入りができるか・・・、というと、ウーム傑作の末席に添えても良いかな。
ただ、やはり中途半端な感じで終わってしまい拍子ぬけ。
ピカレスクな凶悪犯罪ものとしては物足りないし、私立探偵(永瀬正敏)との対決も期待の割りにあっさり。



後妻業ハウツーに関してももっと徹して良いように思ってしまう。やはり題材の割にライト感覚なコメディというのが居心地悪い感じになっているよう。

そんな中、近年、ピカレスクな女の役が嵌りに嵌っている大竹しのぶさんの芸力を堪能するには十分すぎる。
なるほど、大竹しのぶ独壇場で大竹しのぶに尽きる作品だ。
やはり大竹しのぶは怖い女優だ。若い頃からその演技力は恐ろしさを伴っていたと思うが、熟年化して、とんでもない領域に入っていらっしゃる。

大阪弁を使う後妻業のエース的存在・小夜子。
過去からの仕事ぶりが綴られているので五十路から六十路。若くして夫に先立たれた熟年女性。趣味は読書と夜空を見上げる事ときたもんだ。
おとなしく妻におさまるまでの可愛らしさと、いざ刈り取りとなった時の開き直りとふてぶてしさ。


三者三様、特に大竹しのぶの不貞腐れ顔が絶品の葬式シーン。

対決する中瀬の娘。お人好しの長女(長谷川京子)と気の強いキャリアウーマンの次女(尾野真千子)

中盤の尾野真千子との居酒屋キャット・ファイトが一番の盛り上がりで見ごたえあり。
ただ、その後はカタルシスに欠けて消化不良。
終盤にちょっとしたどんでん返しを用意したつもりも解りやすい伏線ワンカットのため、ほとんどの観客は想定できた展開でしょう。残念ですね。






豊川悦司も悪くないです。熟年大竹しのぶよりもこの人の劣化ぶりにドン引きでした。汚ねぇ顔が実によろしい。

ドン引きといえば登場シーンのコスに引いたものの、その後、役柄からかなかなかまともで賢い繭美の水川あさみが好印象。
脱ぎ要員の若手、樋井明日香も頑張ってる。タクシーでのお着換え、後背立位。



ターゲットにされる資産家のお年寄り。当方には全く縁がないこった。独身老年の性生活も金があれば、エロエロ楽しい事がありそうです。
鶴塀が竿師というのも意外で面白いでしたが・・・
竿師に惚れてる小夜子。ここでも大竹しのぶの熟エロ演技は素晴らしかったです。



後妻業が扱う金額の高さから比較するとあまりにも慎ましい鍵屋の泉谷しげるや獣医の柄本明のセコ小悪党ぶりにほっとする。

後妻業が殺人までは手を染めはしないプロなら、ある意味世のためになる悪党だろう。その範疇でならこのコメディも身の丈に合ってる。
同じく津川雅彦が出ていた「0.5ミリ」の方が「○○の女」の名作タイトルに相応しかったと思う。

つまらないわけではないけれど、どうしても伊丹作品、小沼作品と比べちゃう。

裁判より怖い記者会見・・・


ユナイテッドシネマ豊洲

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