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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「火の山のマリア」

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「火の山のマリア」2015年 厄・仏 監督:ハイロ・ブスタマンテ
Ixcanul / Volcano

農業を営む貧しい両親のもとに生まれ育った17歳のマヤ族の少女マリア。作物を収穫できなければ借地を追い出されてしまうため、両親は地主のイグナシオにマリアを嫁がせようとしていたが、彼女はコーヒー農園で働く青年ペペに惹かれていた。その頃、農場は蛇の被害に悩まされており、農薬も効かず困り果てていた。やがて、マリアがペペの子どもを身ごもっていることが発覚する。



6月観賞分

グアテマラの映画というだけで観る価値あり。なかなか観る機会はありませんからね。
それもこれも若い才能、ハイロ・ブスタマンテの映像センスが素晴らしく、この長編第一作が各国で評価され、賞に輝いたおかげの日本公開。ありがたや。
岩波ホールでの上映に行けなくて見逃したかと思ったが、ちゃんと下高井戸でやってくれる。良心的なプログラムに救われますね。

借地農園での貧困と無教養の悲劇。
物語はフィクションだが、実際にあった事件が元だとか。



政略的な許婚者のある少女マリアは閉塞した環境から抜け出そうとアメリカに出るという青年ペペに魅かれアメリカ同行の条件として処女を捧げる。
しかし、チャラい青年ペペは一人姿をくらまし、マリアはペペの子を身籠ってしまう。
家族の一大事において男親と女親の反応の違いが面白く、また母娘の入浴の美しさの聖なるシーンは印象深い。
マヤ人として充分若く美しいヒロイン役マリア・メルセデス・コロイも良いが、この母親役のマリア・テロンがとても好演で輝く。
このおっかさんあっての映画。



母親がなんとか子どもを流産させようとする方法。火山の岩場でぴょんぴょんジャンプさせる。
少し前に観た「越後つついし親不知」の佐久間良子を思い出した。なんとも哀れ・・・

しかし、そんな母親も「この子は生きる運命だ」と覚悟を決め、娘も産み育てることを決意する。

その後、物語にはスペイン語を理解しないマヤ人を利用して悪だくみに発展。言語コミュニケーションの壁というテーマもまた私の好む所であるので。

これからも若き中南米の映画人に大いに期待し、諸国の映画や文化に触れられる機会が増える事を望みたいですね。

原題はIxcanul 、スペイン語題がVolcanoである事からマヤ語の火山という意味だと思われる。





下高井戸シネマ

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