「愛と哀しみの迷宮(ラビリンス) メロドラマの深き谷を歩め」
【それでも、なお・・・~諦念と抒情~】
「みれん」1963年 東京映画 監督:千葉泰樹
売れない作家の愛人になってもう八年、そんな時、かつて駆け落ちした若い男と再開し・・・。断ち切れない女の情とみれんを千葉泰樹がしっとり描く不倫メロ。「どうしようもない・・・」と投げやりにつぶやき、作家と暮す借家への坂道を駆け上がる池内淳子がせつない。
「夜の片鱗」と2本立て
どちらも社会の常識を付きつけてくる男と、解っちゃいるけど止められない女の性ってところでしょうか。
渋谷に駆け付けたけれど既に上映開始10分弱ほど経過していた。
知子(池内淳子)の愛人である小杉(仲谷昇)の本妻が岸田今日子だったが、どうやら冒頭の10分程度にチラリと登場するだけで、後は手紙の朗読と電話口の声のみ。
声だけでも岸田今日子さんですから充分な存在感を見せていただけるわけですけれど、やはり少しでもお顔を拝見したかった。
池内淳子はトラウマ的に苦手であったのだけれど徐々に苦手意識は薄れている。この作品での演技もとても良かったです。でも顔は苦手ですけど。
昔の若い恋人・木下涼太(仲代達矢)が世間の常識を突きつけてきても、生き方・価値観がまったく違うので損得関係なく受け入れることができない女を見事に演じてみせましたな。小杉といちゃいちゃするシーンなんかも味がある。
知子は囲われ者の二号とか妾というイメージでなく実際自立した女。原作は瀬戸内寂聴の自伝的作品。不倫相手が居ながらまた昔の若い彼氏と逢瀬を重ねる・・・
「私が洗ったシャツを向うで着て、また向うで洗ってもらったシャツを来て私のところに来る」とかなんとか言う台詞なんて権助提灯っぽくっていいね。
仲代達矢が再開の折、現在の自分の住処が東大の近くだなんて言ってたからひょっとしたらと思ったら、やはりバス停が今は無き「森川町」(本郷6丁目)
文京区森川町は私の出生の地なのであります。3歳くらいまでしか居なかったけれど、小学生の時に親に連れられ出生の地のアパート・産婦人科を訪れた事が一度だけある。町の記憶は皆無の状態なので、あのバス停の坂道(映画ロケーション的にかなり印象深い景色)の存在は解らない。どちらか親が存命なら聞いて確認する事ができるのになぁと思いながら眺めてた。
売れない作家の負け犬・仲谷昇が佇まいといい演技といい出色でありました。
シネマヴェーラ渋谷
【それでも、なお・・・~諦念と抒情~】
「みれん」1963年 東京映画 監督:千葉泰樹
売れない作家の愛人になってもう八年、そんな時、かつて駆け落ちした若い男と再開し・・・。断ち切れない女の情とみれんを千葉泰樹がしっとり描く不倫メロ。「どうしようもない・・・」と投げやりにつぶやき、作家と暮す借家への坂道を駆け上がる池内淳子がせつない。
「夜の片鱗」と2本立て
どちらも社会の常識を付きつけてくる男と、解っちゃいるけど止められない女の性ってところでしょうか。
渋谷に駆け付けたけれど既に上映開始10分弱ほど経過していた。
知子(池内淳子)の愛人である小杉(仲谷昇)の本妻が岸田今日子だったが、どうやら冒頭の10分程度にチラリと登場するだけで、後は手紙の朗読と電話口の声のみ。
声だけでも岸田今日子さんですから充分な存在感を見せていただけるわけですけれど、やはり少しでもお顔を拝見したかった。
池内淳子はトラウマ的に苦手であったのだけれど徐々に苦手意識は薄れている。この作品での演技もとても良かったです。でも顔は苦手ですけど。
昔の若い恋人・木下涼太(仲代達矢)が世間の常識を突きつけてきても、生き方・価値観がまったく違うので損得関係なく受け入れることができない女を見事に演じてみせましたな。小杉といちゃいちゃするシーンなんかも味がある。
知子は囲われ者の二号とか妾というイメージでなく実際自立した女。原作は瀬戸内寂聴の自伝的作品。不倫相手が居ながらまた昔の若い彼氏と逢瀬を重ねる・・・
「私が洗ったシャツを向うで着て、また向うで洗ってもらったシャツを来て私のところに来る」とかなんとか言う台詞なんて権助提灯っぽくっていいね。
仲代達矢が再開の折、現在の自分の住処が東大の近くだなんて言ってたからひょっとしたらと思ったら、やはりバス停が今は無き「森川町」(本郷6丁目)
文京区森川町は私の出生の地なのであります。3歳くらいまでしか居なかったけれど、小学生の時に親に連れられ出生の地のアパート・産婦人科を訪れた事が一度だけある。町の記憶は皆無の状態なので、あのバス停の坂道(映画ロケーション的にかなり印象深い景色)の存在は解らない。どちらか親が存命なら聞いて確認する事ができるのになぁと思いながら眺めてた。
売れない作家の負け犬・仲谷昇が佇まいといい演技といい出色でありました。
シネマヴェーラ渋谷