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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「女のつり橋」

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「昭和の銀幕に輝くヒロイン〔第57弾〕中村玉緒」

「女のつり橋」1961年 大映 監督:木村恵吾

木村恵吾が自らの脚本を映画化した3話から成るオムニバス映画。マッサージ屋で働く娘の片思いと破局、同じアパートを借りてそれぞれの相手から金を取っていた二号の姿、孤独を感じるストリッパーの心情を描く。女の純情、愚かさ、弱さがそれぞれの話によって浮き彫りにされる。

オムニバスの掌編ながら、これは良かった。

暑苦しい夏の夜の女のつり橋3話。
アイ・ジョージの主題歌から期待も膨らむ。

第1話の失恋ものなんてほんとに他愛のない話で、純情なマッサージ娘(中村玉緒)がぼんぼんの学生(川口浩)に勘違いで入れあげて、あっさり失恋。拒み続けていた嫌な客のもとへ仕事に出かけるといっただけの話。
この話を思い入れたっぷりに純情娘の心情を描いてみせる。
ただそれだけなんだけれど、この思いいれがナイスでした。
残念なのは、同僚のマッサージ嬢で岸田今日子様が圧倒的な理知的魅力を湛えているのに、あくまで中村玉緒の脇役であり、ライバルとしての活躍もないまま終わってしまう。
短編の脇役だから致し方ない所で、ここは岸田今日子さまのお姿を拝見するだけで満足するところ。

第2話では典型的なラブコメディで、単純明快、大いに笑わせてもらえる。
1つの部屋をそれぞれのパトロンに借りてもらい、家賃から家電製品代までみんなダブルでいただいちゃって半分を浮かそうというチャッカリ娘たち。
有島一郎と中村伸朗の鼻の下を伸ばしたデレデレぷっりが楽しい。
家具の置き方、ビールの冷やし方に、それぞれ拘りがある事が笑いの味噌。
有島一郎が「キンキンに冷やしたビールなんか数キロ走った自衛隊が飲むものだ」みたいな事を言ってました。良いフレーズでしたね。よく憶えてなくて正確に再現できないのが残念。
娘たちの悪巧みが露見しても、4人のドライでアッサリとした関係。有島、中村の心の広い社長さんぷりもまた良し。

第3話では、踊り子のまゆら(叶順子)と年老いた劇場の小遣い一造(伊藤雄之助)との焼酎を飲みながら語らいをしんみりと見せる。
「生きていて良いことはなかった。閻魔様への土産話もない」という一造、「ダンスの衆と話をするのは始めて」だと言う。
酔いつぶれたまゆらのあられもない脚に欲情を抑える一造。伊藤雄之助の演技が光る。
翌朝、劇場を後にしようとする市造に幕間からラインダンスのスタンバイをしているまゆらが明るく手を振る。これ、まずいな、ちょっとグッときちゃたじゃないの。

ラスト、それまでの出演者が劇場に観劇に来る形でのキャスト紹介も粋。中村伸朗のロングヘアの愛人役は野添ひとみでありました。気づかなかった。

木村恵吾、珠玉のオムニバス。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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