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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「ボッカチオ ’70」

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「ボッカチオ'70」1962年 伊・仏 製作:アントニオ・チェルヴィ、カルロ・ポンティ

「デカメロン」で知られる14世紀の詩人ボッカチオのスタイルをとった4篇からなるアンソロジー。それぞれを1人の映画監督が演出し、どの作品もが現代のモラルと愛の異なる側面についてを扱っている。

第1話 「くじびき」 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ



射的場の看板娘ゾエ(ソフィア・ローレン)はくじ引きの景品になって客を釣っていた…。

ソフィア・ローレンが射的場の娘でくじびきの景品役というのだから、貧しい娘なんだろう。ところがその迫力のボディから貧しさはあまり感じられない。
ゾエ目当ての町の男たち(ほとんどが中年以上)が一団となって颯爽と射的場に向かうシーンが滑稽で面白い。
結局くじを引き当てた男は童貞中年の墓堀り人足だったが、その頃、ゾーエは村の若者と恋に落ちていた。
相手の若者に思いっきり頬を張られて、涙目になるソフィア・ローレンが良い。あの勝ち気な顔立ちだからこそ・・・
童貞人足には金を渡して退散いただいたが、町の男たちは彼を英雄と囃し立て、凱旋。2階の老婦人たちが男どもに悪口をぶちまけるのも面白い。

第2話 「アントニオ博士の誘惑」 監督:フェデリコ・フェリーニ

独身道徳家アントニオ博士(ペッピーノ・デ・フィリッポ)の家の前に美女(アニタ・エクバーグ)の巨大看板が出現…。

もう、アントニオ博士登場までのオープニングがこれぞ、フェリーニという感じで最高。
映画のロケが行われるローマの町の紹介。ニーノ・ロータの軽快な音楽を伴い、あっという間にフェリーニの世界へ連れて行ってもらえる。狂言回しのエンジェルの声とかで幻想の世界へ誘われる。

巨大アニタ・エクバークはフェリーニ版「1/8計画」というか「遊星からの兄弟」
巨大化するのがペチャパイの桜井浩子(失礼!)と違ってムンムンのアニタだから凄い事になる。
CGもな無く、特撮も未熟な時代。ハリボテ調のアニタの脚や胸の谷間が意外と良い味になっていて匂い立つよう。

第3話 「レンツォとルチアーナ」 監督:マリオ・モニチェリ

職場結婚で要退職の会社に勤めるレンツォ(ジェルマーノ・ジリオーニ)とルチャーナ(マリサ・ソリナス)は内緒で結婚…。

このEPは日本公開時はカットされていたんだとか。その理由が女優も監督もほかに比べて名が通っていなかったというのは失礼な話。巨匠の間に入って充分遜色なし。
内容はラブコメで、日本で言えば岡崎友紀あたりのTVコメディのシチュエーションですね。
主演女優のマリサ・ソリナスは小柄で爪先立って抱きつく仕草が可愛い美人。
セクハラ上司の「ハハハハハ」という笑いが印象的。
EPの中では淫美性が一番乏しいけれど、その分、街中(大きい工場の構内かも)の風景、音楽がポップで楽しい一編。

第4話 「仕事中」 監督:ルキノ・ヴィスコンティ



妻ブーベ(ロミー・シュナイダー)の実家から財政援助を受けているオッタビオ伯爵(トーマス・ミリアン)はスキャンダルを隠そうとするが…。

ラストのEP、もう、随分疲れてきたけれど、個人的にはこれが一番の好みでした。
ロミー・シュナイダーが可愛い。
貴族女性の生活。部屋の中でほとんど夫との会話の中で物語は進行。
しゃべりながら、外出の身支度(衣装はシャネル)を整えていき、また出掛けない事になり部屋着に戻っていく。
女性としては、かなり辛い物語で、ロミー・シュナイダーの頬に伝う涙がせつない。

それにしてもオムニバスとは言え、1本が小一時間の尺。途中休憩が入ったものの、やっぱり疲れるよ。ピンク映画4本立て相当だもんね。
劇場で鑑賞する醍醐味ではあるけど・・・(DVDだったら2、3日に分けて鑑賞してしまいそう)

EPの順番はソフトや公開によって異なる事があるようです。

池袋 新文芸座

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