「中川准教授の淫びな日々」

「中川准教授の淫びな日々」2008年　エクセスフィルム　監督；松岡邦彦

中川四郎は、大学で世界各地でおきている近親姦や性的暴力を研究している。四郎の講義を受ける望月奈々は講義中に喫煙を吸い始めた。四郎の助手である与田種彦は、奈々を教室から締め出そうとするが、奈々は四郎にタバコを投げつけて退席する。そんな奈々の一部始終を教室で見ていた中川恵美は、奈々に興味を持つ。恵美は四郎の娘だった。
奈々は四郎の研究室で与田と口論の末逆レイプに及ぶ。四郎が研究室に戻ってきた途端、与田は部屋を飛び出し、そこには全裸の奈々が残されていた。
驚く四郎に奈々は自分が四郎の娘であると告げる…

2月鑑賞分

平沢里菜子という女優は美人や可愛いというわけではなくスリムな身体も普通ならそそらないはずなのだが、不思議な魅力を讃える女優で、その名を見つければついつい観に行きたくなる。要するに好きなんですね。その手のピンク女優陣の中、最近遅ればせながら仲間入りしてきたのが藍山みなみであって、個人的にはなかなか涎ものの本作なのである。




いや、見事です。名作の多い平沢里菜子出演作でもこれは彼女の特性をいかんなく発揮した代表作レベル。



貧しく母子家庭で育った望月奈々（平沢里菜子）による実の父とその幸福な家族に対する復讐話だが、そのサディスティックなまでも陰湿でエロい手口にはゾクゾクさせられるし、被害者側の中川准教授（那波隆史）の覇気の無さ、妻の酒井あずさの差別的視線、娘の藍山みなみ（今回、お嬢様衣装も萌え）が平沢を姉と慕う健気さ、巻き込まれる与田助手（伊庭圭介）の生真面目さまでもが存分に活かされる。



奈々の生活の糧であるお仕事の得意客、Ｍ男赤犬（世志男）と、篭絡した与田を使っての復讐がエグい。
何の罪もない与田は無残に死を選ぶ羽目に。いや、中川准教授だって昔付き合っていた女、どんな別れ方をしたか定かでないがう恐らく同意のうえ、堕した子を勝手に女が生んだ可能性が高い。奈々の恨みが理不尽である所も肝だ。それでも中川は罪の意識から、奈々を打ち捨てる事ができない。



えげつない復讐の過程でおどおどしていた中川准教授の中にあった何かが芽生えていくさまも、この手の物語の真髄を突く。
それがラストでの中川の打って変わった様子の堂々たる講義。講義資料で回すビデオが･･･



シネロマン池袋