「山本政志脳天映画祭」
「闇のカーニバル」1980年 監督:山本政志
子連れロッカーーのクミは息子を預け、懐に銃をしのばせ、都市をさまよう・・・。JAGATARA、FOOLS AUTO-MOD,ミチロウなど当時のストリートロッカー達が出演し時代の空気を映し出している。
良い悪い、好き嫌いは別として山本政志の才気迸る本作。刺激的だから好き部類に入ると思う。
魑魅魍魎新宿二丁目、闇のカーニバルの舞台としてはうってつけ、その一夜、否二夜を描く。 何しろ革ジャングラサンロッカーの太田久美子の散財間が半端ない。スレンダーな男前。子持ちロッカーは息子に絵本読み聞かせ。もう40年も前の作品だが新宿二丁目を舞台にゲイやトランスジェンダーを明確に表出。40年の時を経てそれ界隈の状況も変わっては来たろうが、あの時代にこれを撮った事が凄い。今なら今でトランスジェンダーにアプローチした名作は作られるだろうが「闇のカーニバル」はある意味越えられないのでは?と思うほど。
昼間新宿紀伊国屋書店前のカラーと夜の新宿はモノクロ。
クミと知り合いなのが、都市テロを計画しているオッサン。地下室?の部屋で綿密な地図を作成している。
紀伊国屋駅前でカラスや人骨粉を売っている謎の妖精は山口千枝。 少女ルックで火葬場に忍び込み人骨盗む。物語に直接交差しないが、山口千枝のキャラはとにかく良い。 場末ディスコでの踊り狂いエモーショナル・レスキュー遠藤ミチロウはゲイ・ディスコで踊ってる。クミがミチロウを殴りGetsita男のいきなり牛乳配達の自転車ひっくり返してのバイオレンスシーンも強烈。牛乳と血が混ざる。朝方とおもわれるがまだモノクロ界。まさか、ちょっとした配慮?
ゲイの青年殺害、死体盛りからバルサン葬。出て来た出て来たカーニバル感。
忍ばせた拳銃。股間からの大量出血。ボロボロになった久美が新宿の闇を彷徨い。
昼間の紀伊国屋書店。預けてた子供との再会。母なんだね。
残念ながら、個人的にミチロウもJAGATARAも当時は名前くらいしか知らなくて、最近になって漸くチョコッと聴いてみたりする事ができるようになった程度で明るくない。そこから時代の空気を受け取る事はできない。
新宿K’sシネマ 2021年6月